怒りという感情の素因数分解をしてみよう

対話形式で解説していきます。

Aさん:私はイライラしていつも家族に怒鳴ってしまうことをやめたいんです。(表現の誇張)
古川:どれぐらいの頻度で怒鳴っているんですか?
Aさん:うーん、1日2~3回でしょうか。
古川:怒鳴るときはどのようなことがあるときですか?(抽象化)
Aさん:家族が片づけないときです。私はきちんとモノが片付いていないと嫌な方なので。
古川:ちなみに家族に片づけで怒鳴るというのは全員にいつも怒鳴るのですか?(抽象化)
Aさん:いえ、特に長女です。長男は言えば聞きますし、妻はある程度愚痴をいいながらも片づけます。問題は長女です。反抗してくるので、ついイラっとして怒鳴ってしまい家族の雰囲気が悪くなります。
古川:なるほど、ということは、長女に片づけないことを指摘した時に、反抗されてイラっとし、怒鳴り、家族の雰囲気が悪くなるのを避けたいのですね?
Aさん:はい、そうです。
古川:ちなみに家族の雰囲気が悪くなるのはどれぐらいの頻度ですか?(表現の誇張)
Aさん:週に1回ぐらいです。

【途中解説】

ここまでで、Aさんが抱いていた漠然とした問題が具体的になってきたのがお分かりになると思います。常にイライラして怒って家族の雰囲気を悪くしている感覚だったのですが、それが起きるのは実は週に1回なのです。

問題だと思う時、それが大きく見えるのですが事実を明確にしていくことが重要です。また、家族という漠然とした言葉を使っていましたが、長女が反抗するときに怒鳴るというパターンがあることも明確になりました。

もう少し深めていきましょう。

古川:長女が反抗することにイラっとするのはどのような考えがあるからですか?
Aさん:「子どもは親の言うことを聞くべきだ」(極端な自分ルール)「片づけができないとだらしない大人になる」という考えが強くあるのを感じます。(因果の飛躍)
古川:その考え方を客観的に見てどのように感じますか?
Aさん:いやー、実は私も父親に反抗していました。父は厳格な人間だったので。片付けは、母親がきれい好きだったので。
古川:敢えて聞きますが、子どもは親の言うことを聞くべき、片づけないとダラしない大人になるというのは絶対的に正しいですか?
Aさん:いえ、私も反抗していましたので。あと片づけができないからダラしない大人になるというのも飛躍がありますね。私も中学時代はやりっぱなしだったので。