中国の旧正月(春節)や桜のシーズンが来ると、中国客の“爆買い”報道が恒例になっている。中国メディアによると、今年の春節に彼らが最も熱心に購入したのは、ドラッグストアで販売されるOTC医薬品(処方箋の不要な市販薬)や化粧品だったという。

なぜ彼らは日本のクスリや化粧品を買いたがるのか。それを知るヒントとなるのが、『東京コスメショッピング全書』(中国軽工業出版社 2014年)という中国書だ。日本の優れた医薬品や健康・美容商品、化粧品をジャンル別に選んでカタログ風に分類し、解説した案内書である。

著者は台湾出身のドラッグストア研究家の鄭世彬氏。彼が台湾で書いた本が、中国の出版社の目にとまり、簡体字版として刊行された。ドラッグストア関係者の話では、同書を手に来店する中国客の姿が多く見られるという。

鄭世彬氏は1980年生まれ。「金沢の金箔マスクなど日本の地方発コスメにも注目しています」。

「フリーの翻訳家だった私のもとへ日本で買ったクスリを持ってきて何が書いてあるか教えてほしいという問い合わせがよくあった。知り合いの出版社と相談し、12年2月、日本のOTC医薬品を解説する購入ガイドを出版した」(鄭氏)

その後、読者から化粧品のガイドもほしいとの声があり、同年11月に刊行したのが、中国版の原本『東京藥妝美研購』(晶冠出版社)だ。これが好評で、日本の五分の一以下の人口の台湾で約1万部売れた。

「台湾人は昔から日本の胃腸薬やかゆみ止めがよく効くことを知っていた。だから、誰かが日本に行くというと、クスリを買ってきて、と頼む。日本のクスリをお土産に買ってくると、喜ばれることを知っているので、みんなドラッグストアに足を運ぶ。私の本が支持されたのは、日本語がわからなくても、何を買うべきか、写真付きで解説したからだろう」(同)