新たに3000人の需要が発生!

金融庁と東京証券取引所は、「独立性が高い社外取締役(以下、独立取締役)2人以上の選任」を上場企業に促す指針を示しました。東証1部、2部の上場企業については、2015年6月1日から適用する方針です。

「独立」というのは、その会社との利害関係がない、という意味です。そのため、親会社や主要取引先などからの出向者は、社外ではあっても独立取締役ではないということになります。現状の属性は、企業経営者OBもしくは現役経営者、弁護士、公認会計士、大学教授、元官僚、コンサルタントなどが中心となっています。

3月決算の企業であれば、2015年6月の株主総会から適用されることになり、2人以上の独立取締役を選任する必要があります。もし2人以上選任しない場合には、選任しない理由を明確にしなければなりません。

2014年7月現在、東証1部の企業のうち独立取締役を複数置く企業は2割程度、東証2部に至っては3%程度となっています。単純に計算しても、新たに3000名程度の人材が必要ということになります。当初は、「選任しない理由を説明する」ことで対応する企業も少なくないと思われますが、近い将来には複数名選任企業が多数派になるでしょう。

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独立取締役の不足人数(全対象企業が2人充足する場合)

一方で、企業側からは、「社外取締役として適切な人材が見つからない」という声も聞かれます。特に中堅規模以下や地方本社の上場企業にとっては、独立性が確保されつつ、自社にとって最適な人材を探し出すことは、かなり困難な作業といえます。

このような背景もあり、社外取締役の報酬水準は、上昇傾向にあります。

これまで社外取締役の年間報酬水準は、企業ごとにバラつきが大きいものの、平均すると600~800万円程度のところにありました。

取締役会などの会議出席が主な活動ですので、「月1~2日程度の出社+準備」で、平均的な所要時間は月10~20時間程度と推測されます。「月2日前後の拘束時間だけで、600万円や800万円なんて、もらいすぎじゃないか」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。