ムービーは言葉よりもストーリーが伝わりやすい

そこで、ヤマト運輸では、社訓で表されているような理念を再認識し、仕事の意義、意味を見直すことを目的として、毎年、全社員を対象として「満足創造研修」が行われています。そして、この研修に取り入れられているのが、「感動体験ムービー」の上映です。

ヤマト社員が思わず涙する「感動体験ムービー」は、実際には写真と短い言葉で構成されたスライドショーのようなもので、

「お届け時間ギリギリになってしまい、走って荷物を運んでいたところを見ていた小さな女の子がタンポポを1輪差し出してくれた」

「母の日に花を届けると、『息子からの初めてのプレゼントなの』と喜ばれた」

「肉親が病気で倒れたとき、仲間のセールスドライバーが、『代わりますよ』と、快く仕事を代わってくれた」

など、日々の仕事の現場で遭遇し「感動」した体験が淡々と語られます。

「お客様との関わりや、セールスドライバーの先輩や仲間との絆など、様々な種類のストーリーが詰まっているので、『泣くまい』と思っていても、一つや二つは、思わずグッときてしまうストーリーがあるんです」と話すのは人材育成課の鈴木祐子さん。

研修では、このムービーを観た後に、参加者全員が、自らの「感動体験」を語り合い、仕事の意味や目的などについて、話し合います。このムービーを上映すると、参加者たちは堰を切ったように自分の話を語り出すのだそうです。「ムービーを観ながら『似たような体験をしたことがある』と自分の体験を思い出してしまうようで、上映後はそれぞれ自分の感動体験ストーリーが出てくるのです」。