終わったら健診のことなんかすぐ忘れてしまう人へ。
結果を生かして健康でいるための6つのソリューション。

1 低い数値は気にしなくていいか

検査項目によります。たいていの項目は数値が高いほうが要注意ですが、なかには低いほうがよくないものもあります。

低い数値が問題になる代表的な項目は、赤血球です。これが少ないと貧血になります。赤血球は多すぎてもいけませんが、それは稀なケース。たいていは基準範囲を下回ることで問題になります。ほかには、HDL(善玉)コレステロールも少ないとよくありませんね。

項目によって高いのが問題になるケースと低いのが問題になるケースがあり、両方とも問題になるケースは少ないです。いずれにしても、基準範囲内であることが求められることに変わりはありません。

2 メンタル検診がないのはなぜ

メンタルヘルスを健診の項目に組み込むのは現実的に難しいでしょう。当日の検査でコレステロール値が高かった人は、生活習慣を変えないかぎり、1カ月後や半年後も数値は高いままです。しかし、メンタルは好調、不調の波があり、1回のチェックでは診断ができません。たとえば元気に見えても、今日たまたま調子がいいだけという可能性もあります。逆に、口数が少なく見えても、もともとそういう性格の人かもしれない。それを1回で見極めろというのは難しい話です。

そもそも、うつ病は自分で異常だと判断できます。食欲がないとか、眠れなくなる、あるいは体重が激変するといった症状は、医師より本人のほうがよくわかります。また、周囲の人が気づくこともあるでしょう。本人は「問題ない」と言っていても、ボーッとしている時間が長くなったり、遅刻が増えたりすれば、うつ病の疑いがあります。

いずれにしてもメンタルヘルスに異常があれば何らかの形で症状が表れているはずで、すぐ専門医の診察を受けるか、周囲が受けさせるべきです。うつ病が定期健診で初めて表面化するケースは考えにくく、今のところ健診に組み込まれてはいません。

3 オールB判定以内であれば健康か

健診ですべての項目がB判定以内でも、ただちに健康といえるわけではありません。極端な話ですが、骨折して寝たきりの生活を送っていても、検査結果がすべて良好というケースはありえます。健診でわかるのは、検査した項目だけ。それ以外のところで病気にかかっている可能性はゼロではないのです。

たとえば会社の健診で検査するがんは、肺がんだけです。ほかのがんを調べたければ、それぞれ別途、がん検診を受ける必要があります。ちなみに「健診」と「検診」は違います。

「健診」は健康であるか否かを確かめるもので「検診」は特定の病気を発見することが目的です。ただし、定期健診の結果がよかったからといって「自分は健康だ」と過信するのはよくない。健診は、あくまでも検査した範囲でしか健康を保証しないと肝に銘じましょう。