そんな世界の「女性活用」のスピードに、日本はまるで追いついていません。いわば男性だけの「片翼飛行」を続けてきたのが日本経済です。しかし労働力人口が減少する中で、ほとんど未活用だった女性の力を活かさない手はありません。

これまで党内において、女性活用などに積極的な企業から政府調達を増やす「ダイバーシティ促進購入法」の制定や、「残業ゼロ」社会を目指した労働関係法・制度の見直しといった政策を通じて、民間の動きを後押しする方策も準備してきました。今回の女性活用策「ウーマノミクス」は、従来のような社会福祉政策ではなく、女性力を活用することで成長も見込める経済政策である点が最大の特徴です。

企業のみなさんにお願いしたいのは、ただ制度をつくり、数合わせのための抜擢人事をするのではなく、「これからのビジネスには必ず女性の力が必要だ」という信念を持って取り組んでほしいということです。たとえばLIXILグループは、15年度以降、新任管理職の3割以上を女性などダイバーシティタレントにすると決めました。これは同社の藤森義明社長が、グローバル化を進める中で必須の条件だと真剣に考えているためです。そういった姿勢がないと、せっかくの制度や人材も効果を出すどころか、逆効果につながる恐れさえあります。

とはいえ、抜擢される女性はおそらく、有能でしたたか。男性にできることができないはずはありません。昇進の内示があったら、尻込みせずにチャレンジしてほしい。それは必ず、後に続く後輩たちのためになるのですから。

(面澤淳市=構成 原貴彦=撮影)
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