「現物・現場・現実」を自分の目で確認

ブリヂストン相談役 荒川詔四氏

月に一度は工場や事業所に出向き、気づいたことがあれば、必ずその場で指摘します。また基本的な方針に関わることは何回でも直接現場の社員に話をします。それが一番正確に伝わるのです。同時に懇談会や意見交換の場を設けて、社員の声も吸い上げるように心掛けています。

結局のところ、仕事は常に現場にあるからです。その結果を報告の形で聞いていては時間がかかる。しかも報告は二次、三次の情報であって、一次情報ではありません。現場の状況を“聞きかじり”で済ますわけにはいきません。

自分の足で現場に行き、「現物・現場・現実」を自分の目で確認する。そこで初めて、経営方針どおりに進んでいるのかどうか、各施策が適切に実施されて、想定した結果が出ているかを把握できます。

こうした動きの根底には、私なりのスピード経営の考え方があります。素晴らしいことをやっていても、激変する環境下では、スピードが遅いだけで、重要な機を逸してしまいます。

(08年11月3日号 当時・社長 構成=斉藤栄一郎)

小宮一慶氏が分析・解説

日報に目を通していれば現場を把握できているという気になってはいないだろうか。でも、そこにあるのは二次情報で、それを鵜呑みにしているようだと現場で何が起きているのか、本質を見抜けない。荒川氏の説く「現物・現場・現実」は、見抜く力を磨く鍛錬法でもあるのだ。

小宮コンサルタンツ代表取締役 小宮一慶 
1957年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現職。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。