1日5分だけ働いて1カ月で100万円稼ぐ

とはいえ、誰も予測できない30年後について、そんな壮大な数字を、株主総会という公式の場で言ってしまっていいのか。僕はいいと思います。

適当な数字をあげてハッタリのように無責任に言い放つなら、誰でもできます。しかし、目標を果たせず周囲から「ペテン師」のレッテルを貼られるようなことには、僕は絶対にならない。

なぜなら、その数字をどうすれば実現できるか、悩みに悩み、考えに考え抜いて、少なからず自信を持っているからこそ公言したのです。

一歩間違えると崖の向こう側に落ちてしまう――。そんな苦難の連続でした。30年間、無事に存続できたのは奇跡かもしれません。それでも、僕は多くの修羅場をくぐり、洞察力を養ってきた。だからこそ、「これからの30年」を考えたとき、ふと頭に浮かぶ数字があるのです。

僕には昔から、数字付きの「大ボラ」を吹く癖がありました。

まだカリフォルニア大学バークレー校の学生だった頃の話です。「1日5分だけ働いて、1カ月で100万円を稼いでみせる」。友人などに宣言するだけではなく、日本の家族にも伝えたのです。「今から1年ちょっとしたら、もう仕送りはやめていいよ。その頃、俺は月100万円稼いでいるから」と。

まだ何で稼ぐか、何のアイデアもない。仕事の経験はバイトを含めて1回もなく、正真正銘、1円も稼いだことはありませんでした。

僕は、学生時代、世界一勉強したと胸を張って言えます。でも1日5分だけは勉強以外に「発明する時間」として、年間250のアイデアを出しました。そしてその中から、自動翻訳機を製作し、日本のメーカーに1億円超で売却することができました。