孫正義、イチローはマイナス思考をすぐ「処理」

4. 達人の考え方の極意

では、ネガティブな感情を回復させるためにはどうすればいいのか?

これまでとは違った枠組みで物事を見るようにすればいいのです。

そうすることで、同じ1つの経験から異なる解釈をすることができるようになり、結果、感情が変わります。

専門用語で言えば、「リフレームを起こす」といいます。

例えば、何かうまくいかないことがあった時に、失敗と捉えて落ち込むか、継続する改善の途中の出来事と捉えるかで感情は変わります。どういうフレームで見るかで解釈は変わり、感情も変わるのです。

私は、「マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を執筆するにあたり、孫正義、イチロー、羽生善治、ヒクソン・グレーシー、『五体不満足』の著者・乙武洋匡など100人以上の人の思考パターンを研究してきました。

彼らは逆境の中で、光を見いだし、卓越した結果を出し続けています。

そして共通して言えるのは、リフレームを起こす達人であるということ。

これは、彼らが体験の中から自然と身に付けてきた思考術なのです。

私たちもそれを身につけることができます。また、実はすでに誰もが行っていることなのです。問題は、無意識的に行っているため、強化することができていないということ。

私が強調したいのは、ネガティブな感情に襲われるのは性格の問題ではなく、リフレームを上手に起こすスキルを磨けていないからということなのです。

では、リフレームをどのように起こせば良いのか?

述べてきた省略・歪曲・一般化の結果としての解釈を別の形で解釈すればいいのです。

次回から3回に渡って、「リフレームを起こす技術」を具体的にご紹介していきましょう。

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