「子育てに比べれば、仕事は楽だ!」

母親にかかる過重な育児負担は、なぜ問題視されないのか?

それは政治やビジネスの中枢にいる人たちの多くが子育てを担っておらず、その大変さを皮膚感覚ではまるでわかっていないからではないか。知識や情報としては知っているが、それは他人事であり、自分事ではない。男性社員の育児休暇などイクメンの存在も報道されているが、実際はそうした行動に出る人は圧倒的少数だ。

男性陣の育児する女性に対する「本音」はこのようなものかもしれない。

1. 「育児は女性にしかできない神聖な仕事だよね」と祭り上げ、自分は育児に不参加。
2. おむつ替えや、授乳は単純な労働で、会社での仕事のほうがずっと大変だ。
3. 女性には母性愛があり子供はかわいいのだから、子育てが大変でも喜びを持って乗り越えられるはず。だって、それは多くの女性(母親)がしてきたことなのだから……。

比較的理解のある旦那さんでも、根っこの部分では1~3のどれかに当てはまる。だから、繰り返し「子殺し」事件が起きても、どこかの頭のおかしい女がやったことだと、スルーするのみなのだ。

そこで、筆者は声を大にしてあえて申し上げたい。

「子育てに比べれば、大人相手の仕事なんて楽なものだ!」

なにバカなことを言う。そんな批判があるのは承知の上だ。しかし、少なくとも仕事相手は、すべてにイヤイヤと言わない。上司や顧客などに難敵はいるけれど、職場の誰かに相談したり、最悪の場合は転職したりすることはできる。嫌な相手との関係を、ゼロにする選択肢は残されている。でも、自分が腹を痛めて生んだ子との関係は断ち切れない。

▼母親の子育て支援は不十分

子供は、かわいい。確かに、母親に生きる喜びを与えてくれる。でも、喜怒哀楽を全身で表現し、朝から晩まで母親に付きまとう「悪魔」の存在に、擦り切れてしまうことだって、ある。それに、仕事終わりにお酒やカラオケでストレス解消するような行為もしづらい。

日本では市区町村が「子育て支援センター」を設置して、母親の子育てを支援している。各自治体によって違いはあるが、たとえば前出の容疑者が住んでいる厚木市では一時保育もやっている。しかし、利用できるのは9:00~18:00の間で、1日4時間まで。4時間では、何か1つ用事を済ましたら終わってしまう。

地域住民による助け合いの会員組織である「ファミリー・サポート」などでも子供の世話を頼めるが、やむをえない事情があるときに補助的に利用するという位置づけだ。しかも、一時保育やファミリー・サポートは有料だ。厚木市の一時保育は500円、ファミリー・サポートは700円~900円と安価だが、収入がない専業主婦の場合、繰り返し利用するのは気が引けるという人もいるだろう。

何より、道端アンジェリカの“無邪気”な発言が罵倒され、炎上するという“育児ハラスメント”国家の日本では、子供を預けてリフレッシュすることに罪悪感を覚える母親も多い。少子化は否応なく進んでいる。例えば、月30時間は無料でベビーシッターを頼めるようにするなど、母親に積極的に休みを取らせるような支援制度があってもいいように思う。