証券マンに必須の『会社四季報』。卓上サイズのものをデスクに常備し、業績確認を怠らない。

「株や金融商品の話だけではありません。『ノートパソコンを買い替えたい』『A駅にいるが、B病院にはどう行けば早いか』といったご依頼には、素早く対応するようにしています」。固定電話機の子機の電池を替えてあげるなど、よろず相談所のような役割も多いが、本人は苦にしない。特に印象深いのが、顧客宅のパソコンで年賀状を作成したこと。「作成ソフトを駆使してご希望のデザインに沿って作りました」と笑う。その顧客からは後日、推奨する金融商品の注文があったそうだ。

お礼や挨拶では、直筆の手紙も欠かさない。相場低迷時に独学でペン習字を会得。細切れ時間を利用して手紙の基本部分を書き溜め、お客に応じて使い分ける。年配客に好評なのがバースデーカードだ。

「もうめでたいトシじゃないよ」と言いながら、喜ぶという。地道な交流を積み重ねた結果「田島君がいうのなら、そうしよう」という注文も多い。

大手証券は担当者が頻繁に代わるし、ネット証券だと軽い相談ができにくい。そんなもどかしさがあるなか、立花証券では、営業マン本人やお客が転勤になっても、基本的に付き合いがずっと続く。

2013年4月5日、立花証券で6年ぶりに「大入り袋」が出たことが兜町の話題を呼んだ。「勝って驕らず」の田島さんだが、「立花証券と取引したい、田島に頼みたいと思われるのが理想」と話す。きめこまやかな対応が、困ったときに電話をしたくなるのだろう。

(的野弘路=撮影)
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