給与を伸ばすには3つの方法がある。ひとつは自分が出世することだ。残りの2つは、会社が成長するか、厚遇の会社に移るか。必要なことは大局観をもったキャリアづくりだ。会社頼みでは、必ず行き詰まる。

塩野 誠さんの回答
「全部乗せ」は事業の立ち上げ経験

年長者のセールスポイントは、スキルよりも人脈であることが多いと思います。理想的なのは、「あの人が定年になるのだったら、うちの監査役になってもらおう」と声をかけてもらえるケース。このためには仕事を通じて自分の評判を培っておく必要があります。名刺交換をしただけの薄い人間関係では人脈とはいえません。一緒に仕事をするだけでなく、手強い競合や交渉相手として印象に残っていれば、「あの人を誘ってみよう」となる可能性があります。

スペシャリストは業界動向に左右されがちです。汎用性が高いのはゼネラリスト。最も評価されるのは、新しく何かの事業を立ち上げた経験があることです。財務、マーケティング、営業など、「全部乗せ」となり、ニーズが多い。仕事も人間関係も、幅を広げておくと、あとで有利です。

塩野 誠(しおの・まこと)
経営共創基盤(IGPI)パートナー/マネージングディレクター。1975年生まれ。米国ワシントン大学ロースクール法学修士。ライブドア証券副社長などを務め、現職。著書に『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』など。

山本一郎さんの回答
名刺に「元××」と書いてしまう人たち

会社の背番号がなくなった瞬間に、自分の価値がないことに気づく。言い古されてきたことですが、実際にわが身に降りかかると、なかなか気づかないようです。定年退職した後、自分の名刺に「元××」と書いてしまう残念な人はたくさんいます。

退職後に自分のコネを活かして働こうという人もいるでしょう。でも、そんなに世の中は甘くない。新しい仕事を現場でやらない限りは、コネは2~3年で食いつぶしてしまう。やはり仕事とは、汗をかきながら、自分の手足を使わなければできないものです。そのためのスキル維持や健康管理ができなければ、20代でも60代でも、仕事はありません。

私の場合、年長者に期待するのは、「人を使う」というスキルです。これは年をとっても色あせず、むしろ上手くなる部分がある。しっかりしたマネジメントの経験は年齢にかかわらず評価されます。

山本一郎(やまもと・いちろう)
1973年、東京都生まれ。96年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2000年イレギュラーズアンドパートナーズを設立。著書に『リーダーの値打ち』『情報革命バブルの崩壊』などがある。ブロガーとしても著名。
(プレジデント編集部=構成・撮影)
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