経験値が低いため、いざというときの対応に困る葬儀。費用の相場観、宗教者へのお礼の目安など、最近の動向を踏まえて要点をわかりやすく解説する。

Q 葬儀費用は、予定より請求額が高くなるそうですが、実際、いくらくらいかかりますか。

A 葬儀の規模・内容によります。会葬者数などによって変わる「変動費」に注意しましょう。

葬儀社への支払いは3階建て
変動する費用で大きな差が!

葬儀全体にかかる費用は、「葬儀社に支払う金額」と「宗教者に支払う金額」の2つに大別されますが、ここでは「葬儀社に支払う金額」について述べます。

まず、重要なのは、葬儀社が広告などで「葬儀一式○○万円プラン」「30人までの家族葬プラン○○万円」とうたっている「葬儀費用」と、実際に「葬儀社に支払う金額」はまるで違うということです。

違いが出てくる理由の1つは、「○○万円プラン」といっても、オプションがゼロということは、ほとんどないからです。ホームページやチラシ等に「追加料金一切不要」と書いてあっても、そのまま受け止められるものではありません。

たとえば、プランのセット料金に含まれるドライアイス料金でも、規定以上の日数になると、オプション料金がかかります。祭壇の好みや写真の大きさや額の種類など、遺族の思いを少しでも多く反映させようとすると、セットの料金で収まることはあまりありません。

一般に、もとのセット料金の30%程度がオプション料金として上乗せになることが多いようです。逆に、セット料金の中に含まれる項目・サービスに不要なものがあって、減らしたとしても金額は同じです。

いずれにせよ、セット料金+オプション価格は、あらかじめ決定できる種類のもので、2つまとめて「葬儀本体価格」と呼ぶことができます。

このほかに、葬儀社に支払う費用としては「立替金」と「実費」があります。「立替金」は、葬儀社以外の業者に払う費用で、葬儀社が一時立て替えてくれる金額です。寝台車や霊柩車、火葬料、骨壺代などがこれに入ります。葬儀社を通して香典返しをする場合は、その費用もここに含まれます。

問題は、「実費」です。これは、料理や返礼品にかかる費用で、一般葬で行う場合、会葬者数で変わってくるので「変動費」ともいいます。もちろん、ある程度、予測して会場の大きさその他を決めているわけですが、想定以上に会葬者が多いと、この部分がふくらむことになります。当日、親戚の方が知らない間にお酒を追加注文していたといったようなこともよくあります。

いずれにしても見積書と請求書とを見比べてよく確認することが重要。変動費で増減があるのは当然ですが、本体部分に覚えのない項目が計上されていたら、きちんと申し入れしましょう。

また、葬儀社や宗教者に対する費用以外にも、実は葬儀には思わぬ出費がつきものです。これは、各家で事情は異なってきますが、たとえば遠隔地から来た親戚の交通費や宿泊費の負担、細々した買い物・タクシー代など。葬儀の前後は、予備費として10~20万円の現金を用意しておいたほうが無難でしょう。