10秒の会話に専門用語を「2語」入れる

コンビニのフランチャイズ店への展開も果たした多月が、コンビニに続いて開拓したマーケットは、なんと消防署だった。いったいどんな理由で着目したのだろうか。

「家の近くにたまたまあったからなんですけど、その近さの他にも大きなメリットに気付いたんです。一般の会社員さんの場合、どうしても平日夜かお休みの土日にアポイントが集中しますよね。その点、消防署もコンビニも24時間365日体制の職域なので、平日の昼間や、朝イチに商談ができたりします。」

多月由佳さん

消防署には多くのセールスが出入りしているが、175センチの長身・ボーイッシュな髪形・スカートではなくパンツスーツという多月は、それだけで目を引く。「なんか感じの違う人が来ているな、どこの誰だ?」と、署員たちのあいだで話題にのぼる、ということがセールスにとって追い風になった。

「最初は署長さんに挨拶もかねて、『署員のみなさんにお話をさせていただきたいので、その内容を10分くらい聞いてください』とお願いするんです。その話の中で『よう勉強しとんなあ』と言ってもらえるので、その言葉を署員の方にもお伝えするんです。『実は、署長さんにもお話を聞いてもらって、よく勉強してるなって言われたんですよ』って。

そうすると『へえ、この人って、そうなんだ』と思っていただけるので、すかさず『こんど15分だけお時間をいただけませんか。今月は1番ですか2番ですか?』と、勤務シフトの専門用語を入れます。最初の10秒の会話に相手が仕事で使う専門用語を2個くらい入れるだけで、『おや?』と関心を持ってくださって、一気に距離が縮まるんです」

※本連載は書籍『アメリカ本国を驚愕させたプルデンシャル生命の「売る力」』からの抜粋です。
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