「グローバル化」は、世界有数の多国籍企業を都市が誘致することを指しています。なぜそれが大事かといえば、世界のGDPの大半を多国籍企業が占めているからです。上位100社だけで、世界のGDPのかなりの部分を占めています。

多国籍企業は、あなたの都市にこだわらなくても、ほかの都市へ行くという選択肢もあります。多国籍企業を誘致しようとする多くの都市と、進出すべき都市について検討している多くの多国籍企業のあいだには、ダイナミックな関係が存在します。では、どうしたら多国籍企業の工場を誘致し、都市を発展させることができるのでしょうか。それこそが、まさにこの本のテーマなのです。

選択的な移民政策でお金をかけずに少子化問題を解決

【神田】多国籍企業が目を向けないような地方にはどのような視点が必要でしょうか。日本には高齢化や人口の減少が進んでいる地域がたくさんあります。

【コトラー】もし、ロッキングチェアーに座って死ぬのを待っているだけというのが高齢者のイメージであるとしたら、それは健全ではありません。そこにはマーケティングで扱うべき課題があることにお気づきでしょうか。「現役を退いた日本のシニア層に行動的なライフスタイルを提案する市場をつくり出せるだろうか?」「彼らに様々な楽しみ方を示すことができるだろうか?」。高齢者は、運動やアクティブな活動を制限するような病気を抱えているかもしれませんが、「いかに高齢者に若いマインドを持ってもらうか」という視点を持つことが必要でしょう。

一方で、人口の減少というのはまた別の問題です。高齢者が亡くなることで人口が減少するという面もありますが、夫婦が子どもを持ちたがらなくなっていることも一因です。子どもの養育にはお金がかかります。米国では、大学へ通わせるとなると、子ども一人あたりにつき30万ドルほどかかると試算されています。日本も、子どもを持つことに対してフランスのように国が金銭的な補助を与えないと「貧乏になるから、子どもを何人も持つのはあきらめよう」と考える夫婦が出ることは避けられないでしょう。