【田原】いまオリックスの女性管理職はどれくらいですか。

【宮内】何とか女性を上げたいとずっと努力してきて、いまは女性管理職が約18%まで上がってきました。さきほど男性の目で女性を評価するとおかしくなるといいましたが、女性のかたまりができて女性が女性を選べるようになってきたので、ここからは急増するでしょう。

【田原】女性が働きやすい職場になっていますか。産休を取って復帰すると、忙しいだろうということで元の職場に戻れないという女性側の不満をよく聞きます。

【宮内】それは本人しだいで、たとえば子どもが小さいときは自分から職位を落として、もう大丈夫だと思ったらいつでも元に戻れる制度を用意しています。

【田原】日本の将来には深刻な不安が2つあります。一つは人口減少。これはどう考えていらっしゃいますか。

【宮内】まず考えなくてはいけないのは、みんなが幸せに生きられる適当な人口はどれくらいかということです。私が子どものときは「一億一心」といっていましたが、耕地面積16%という山ばかりの国ですから、1億がせいぜいかなという気はします。

【田原】安倍さんは「1億でとめたい」といっていますね。

【宮内】ただ、急激に減るのは困ります。なだらかに1億にいくには、労働力不足にならないような政策が必要です。具体的には、まず期限付き労働者という形で外国人を受け入れる。その中で「日本に住みたい」といい、われわれも「日本にいてもらっていいじゃないか」といえる人に定住を認めていけばいい。

【田原】いまヨーロッパは移民問題が大問題になって、右翼の政党が伸びていますね。日本は大丈夫ですか。

【宮内】日本はその失敗を見習って、なおかつ、彼らの労働力を利用するという制度設計ができると思います。

【田原】ヨーロッパの失敗の原因は何ですか。

【宮内】たとえばドイツのトルコ移民は2世代目になりましたが、依然としてトルコ人はトルコ人で固まっています。フランスにはアフリカからたくさんきたけれど、やはり同化していない。これは経済的にも文化的にも異質な人がきたからだと思います。日本も、あまりに落差があるところから受け入れると同じ轍を踏むかもしれない。ですから、アジアだったらいいんじゃないですか。