ケアリッツ&パートナーズ社長 宮本剛宏氏

従業員100人以下の会社が50%を占める介護業界では、大卒の新卒採用を行っている会社は、他の業界と比較すると圧倒的に少ない(平成25年介護労働調査)。しかし、同じ業界に競合他社が少ないからといって新卒採用が簡単というわけではない。そもそも介護業界に絞って就職活動をしている学生は福祉系の大学以外にはほとんどおらず、応募者を集めることもままならない会社が多い。その結果、介護企業であれば採用基準が低いだろうという理由で、保険のために応募をしてくる学生が増えている。弊社では開始3年で20人の学生の採用に成功し、これが業界での成功事例となったが、他社では能力もやる気も低い人材でも採用せざるをえないのが現状だろう。面接時に何の躊躇もなく「希望する業界の会社が全滅したので、今は介護業界を回っています」という発言をした学生もいた。もちろん不採用である。また、弊社の新卒選考では文章の理解や簡単な計算力を問う筆記試験を行っているが、500人以上の受験者のうち半数以上が問題の5割も解けない。もちろん筆記試験のみで能力を測れるわけではないが、語彙力や計算力は仕事の効率に直結するため、基礎能力が乏しい人材を積極的に採用したくはない。

こういった介護業界に優秀な学生がこない現状を打開するために、学生からみた介護業界のイメージを変えなくてはならない。新卒就職人気ランキングの上位企業と比較して足りないものは多いが、まずは明確なキャリアパス・報酬体系・評価制度を示し、学生が労働環境と将来の自分を想像できるよう対話を重ねていくことが必要だ。

今後も高まる介護のニーズに応えるために、新卒と中途を問わず介護従事者の人数を増やす必要があり、厚生労働省も介護労働者の環境を改善すべく、賃上げを条件に介護報酬を増やすなどの施策を行っている。しかし、介護員を束ねる管理職の確保については手が打たれていない。介護業界全体のビジョン策定が急務だ。