4. 最初にキレる
先に「ムチ」、次に「アメ」

悲しいことに、真面目な人は周囲から見くびられがち。しかし内藤氏によれば、それを予防する方法があるという。

「あえて初期段階でケンカしておくんです。人間って不思議なもので、一度衝突した相手とは二度とぶつからない。この線を越えると相手が怒るとわかるからです」

ケンカの種がなくても些細なことで難癖をつけ、キレてみせれば、その後は一目置かれる存在になるというわけ。真面目な人にとっては少々ハードルの高い荒技だが、なめられっぱなしではいずれ大きなトラブルに発展する。いわば将来大きく嫌われることを防ぐため、今のうちに小さく嫌われておくのだ。

特に生意気な部下に対しては、「アメとムチ」のムチが有効だと内藤氏は言う。サーカスの猛獣が調教師に従うのは、最初に3分間ムチで叩き続けるから。「この人には勝てない」と観念した猛獣は、二度と牙をむかなくなるという。

「新入社員に対しても同じ。入社直後に、30秒遅刻したら土下座させるくらい厳しくしておくと、その後は上司に逆らえなくなります」

つまり巷でいう「アメとムチ」は順番が逆なのだ。最初にアメを与えると相手の期待水準が高くなってしまうが、さんざんムチで叩いたあとなら、どんなに小さなアメでも泣いて喜ぶというわけだ。

これは極端だとしても、部下との関係を割り切ることも必要だ。西多氏は、「部下に期待しすぎて疲れてしまう人は多い」と指摘する。

「真面目な人ほど部下に期待しているので、部下ができないのは自分の指導が悪いからだと悩んでしまう。しかし実際は、部下本人に問題があることも多いのです。すべて自分のせいだとは思わないほうがいいでしょう」