現在のビジネスマンにとって、きわめて重要な資質が未来志向とチャレンジ精神。現状に甘んじることなく、常に自分を成長させようとする姿勢は、中高年にも当然、求められています。チェックリストでは、[2][7][8][9]に該当すれば、合格といえます。

これまでは、積み上げてきた経験は価値が高かったのですが、ビジネスモデルが目まぐるしく転換しているなか、過去の経験は必ずしも役に立ちません。今必要とされているのは、「身につけたノウハウを応用して、新しいビジネスにどう生かすか」ということ。未知の仕事でも進んで取り組み、環境の変化にも耐性があって、柔軟に対応できるかどうかが問われます。現在のビジネスマンは、学習し続けなければならない宿命なのです。

私が企業の人事担当者であれば、社員を評価する際、実績は重視しません。現在のパフォーマンスと企業への貢献度、そして、将来性を見ます。成功体験にこだわり、学ぶ努力をしない後ろ向きの中高年は取り残され、リストラされる可能性が大きいでしょう。

たとえば、OECD(経済協力開発機構)は、2009年に「21世紀には、これまで使わなかった能力や技術で、新しい仕事を生み出すことが必要だ」という指摘を行っています。富士フイルムは、写真フィルムメーカーから脱皮し、今や化粧品まで作るようになりました。その過程で生き残ったのは、変化に順応できた人たちなのです。経営統合を繰り返してきたメガバンクで生き残ったのも、同じようなタイプです。

付け加えるならば、自分の会社が何を目指しているのか、5年後にどのようになっているのかを語れることも、ビジネスマンとして大切な資質。経営トップのビジョンをよく理解し、それを自分の仕事に落とし込んでいない人は落第です。私はよく、企業の人たちに「社長の年頭所感はどうでしたか」と質問します。「自分は間接部門だから関係ない。覚えていない」という人はご用心。リストラ候補にされているかもしれません。