2月某日、都内にある都道府県会館の一室に、20代~30代の若手ビジネスパーソン50人が集まった。この会が特徴的なのは、主催者も参加者も全員が和歌山県の出身者であること。若手が同郷の経営者から学ぶというコンセプトで始まった「わかやま未来会議」の第1回目だ。“先生”は日産副会長の志賀俊之氏。幾度もの修羅場を乗り越えてきた自身の体験を語る熱のこもった講演に、全員が聞き入った。その講演の一部始終を再現しよう。

自分なりの目標を持つことが大事

“仕事ができる人”と“リーダー”は違います。

志賀俊之・日産自動車副会長は修羅場体験を語った。

仕事ができる人は、業界・市場の知識や専門の知識などの「ナレッジ」、語学力やプレゼンテーション能力などの「スキル」、積極性やまじめさなどの「コンピテンシー」が豊かで、一人で結果を出せる人です。この3つを磨くためには、「目標」と「競争意識」が欠かせません。目標はどんなものでもいいので、「持つ」ということが大切です。

私が日産自動車に入社したときの目標は「和歌山日産の社長になる」ことでした。私の父は和歌山日産に入り、最初は修理を担当し、後に営業の仕事に従事していました。そして私が大学3年生のとき、いよいよ役員に手がかかるというところで、日産自動車の課長がそのポストに就いてしまいました。そのとき「ローカル採用ではダメだな」と思い、「自分が日産に入り、和歌山日産の社長になって戻ってくる」と目標を定めたのです。だから入社のときから、経営者になるなら財務も人事もわからないといけないと考え、その分野について必死に勉強しました。

私は競争意識も強かったと思います。中国担当になったときは、競合メーカーの中国担当者のところへ会いに行って自分の実力を確認しました。私のほうが中国の歴史や文化をよく知っていて、中国語の力も上だと自負していたので、ライバルを訪問し「よし勝った」と確信を得たこともあります(笑)。もしライバルに負けていたら、勝てるように努力すればいいのです。

ここまでが仕事のできる人の話です。