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台北市長 柯 文哲(Wen-je Ko)
1959年生まれ。国立台湾大学医学部卒業後、外科医として台湾大学医学院教授などを歴任。2014年12月、台北市長に就任。


 

台湾史上初、無所属新人の台北市長が誕生した。昨年11月の台湾地方選挙で外科医の柯文哲氏が、祖父の代から与党国民党の中枢にいたサラブレッド候補に大勝。台湾政治の潮目を変える事件だった。台北市以外の6直轄市中5市でも国民党は惨敗。馬英九政権と国民党に対する有権者の不信感が如実に現れた。昨年3月のひまわり学生運動からの流れを見るに、中国の台湾取り込みに歯止めがかかったと言える。

台湾大学付属病院の外科医からの転身で政治経験ゼロ。しかも人見知りで、相手の目を見て人と話ができない「コミュ障害」。長男がアスペルガー症候群の診断を受けたときに医者から、あなたもその傾向があると指摘された。だが、敬虔な仏教徒でベジタリアン、清廉潔白な人柄は市民から愛されている。争いを好まず、青(国民党)と緑(民進党)の対立をやめ、一緒に「白い力」で台北を変えていこうと呼びかけて国民党員からの人気も。祖父が国民党の白色テロ2・28事件で犠牲になっており、思想的には「深緑」の「隠れ独立派」とも言われ、中国からは警戒されている。

市長就任3カ月、これまで機密扱いしていた公文書の公開を決めるなど、既存の政治家ならありえない市政を展開中だ。役人たちは震え上がっているが、市民の評判は悪くない。中国の習近平政権にとっては、すでに死に体の馬政権に利用価値はなく、この政治素人の変人市長を懐柔できるかどうかが、中台関係と東アジア情勢の行方を決める鍵との声も。