ヒラリー・クリントン、ジェブ・ブッシュ……全世界に多大な影響を与える次期アメリカ大統領になるのは、いったい誰だ! 共和党最大の支持母体 全米税制改革協議会(ATR)会長のグローバー・ノーキスト氏を直撃!

なぜ、オバマは人気を失ったか

全米税制改革協議会(Americans for Tax Reform)とは、保守派の実質的な司令塔として強い指導力を持つ米国最大級の政治団体である。同団体が主催する完全非公開の水曜会には保守派指導層が出席し、同協議会の会長であるグローバー・ノーキスト氏は、共和党の意思決定に強い影響を与えている。プレジデント誌は、グローバー・ノーキスト氏への独占インタビューに成功し、普段は表に出ることのない米政界の本音を聞き出した。

──オバマ大統領についての評価をお教えください。
全米税制改革協議会(ATR)会長 グローバー・ノーキスト氏●レーガン大統領の要請で同団体を立ち上げ、歴代共和党政権の税財政に関するアドバイザーを務める。現在でも共和党の大統領候補予定者の選考に強い影響力を持つ。(時事通信フォト=写真)

オバマは米国民にとって「巨大な失望」そのものだった。オバマの政策について、「これが成功した」と言えるものは一つもない。なぜなら、成功したものがないからだ。

オバマの失政について共和党側は「原因は民主党側の政策が腐っているからだ」と主張するだろう。それに対して、オバマは「自分が思うとおりに財政支出を拡大できれば成功したのだ。歳出拡大に反対する共和党が連邦議会の下院で多数を占めていたので実行できなかった」と言い訳を述べる。しかし、それは大きな間違いだ。なぜなら、2009年からの2年間について、民主党は上下両院の多数を握っていたからだ。共和党側には民主党の政策を止めるだけの力がなかったため、オバマ政権と民主党は自分たちのやりたいことをすべて実行することができたはずだ。しかし、彼らは自分たちの支持母体である労働組合などに配慮した結果、移民の受け入れなど、彼らにとって重要な政策を実行できなかった。そのほかの政策についても、彼らは実行できる立場にいながら何もやらなかったにすぎず、自らの失敗を共和党のせいにしているだけだ。

そもそもオバマが大統領に選出されたときに、彼は米国民に対し、明確に何かをするとほとんど約束しなかった。なぜなら、オバマの意見がどのようなものであるかを意図的に知らせないという選挙キャンペーンが行われたからだ。さらに、米国の報道機関は民主党に対して非常に同情的であり、ブッシュに対して厳しい傾向があったため、大統領選挙に際してオバマと彼のチームに対して不都合な質問をほとんどしなかった。そのため、誰もが自分自身の勝手な幻想をオバマに投影し、オバマという存在を自分に都合よく解釈した。

「やっと彼が大統領の椅子についた」
「彼こそが我々の求めていた人物だ」と思い込んだのだ。