保険グループのブランド戦略

櫻田謙悟・SOMPOホールディングス社長

2014年11月に持ち株会社とグループの略称を「SOMPOホールディングス」とした。これはグループベースで進める「真のサービス産業への進化」に向けたブランド戦略の一環である。ブランドの定義は百者百様だろうが、私は「ユーザーの持つイメージの総体」だと考えている。それはCMなどによって消費者が抱いている印象と、私どもが提供する商品・サービスの経験を通じて抱くイメージが重なり合ってできるものである。

グループの中核である損保会社同士の合併により、売り上げ規模が国内単体では最も大きくなったが、両社を足して2以上の効果を得るためには「ブランド力」が不可欠であり、そのためにはグループが目指す方向とお客さまの期待を一致させなければならない。その点では、単なる「認知度アップ」とは一線を画すものだと考えている。

では、私どものグループが将来に向かってどうなっていくのか。大事なのは、お客さまはもとより、社員や株主、提携企業にとっても「身近にいてほしい」と思われる企業グループでありたいということ。当グループの経営理念にある"安心・安全・健康"を原点とし、国内外で展開するサービスのあり方をシンプルな言葉で示していく必要がある。それが、このたび策定した「ブランドステーメント」と「ブランドスローガン」にほかならない。

「ブランドステーメント」と「ブランドスローガン」の2つは「我々が何を目指すのか」ということを簡潔に表現したメッセージである。ステートメントでは、損保だけの事業領域にとどまらないことを改めて記した。私は常々「損保の売上げは人口の関数」だと説明している。超高齢社会を迎え、人口が減少していく見通しのなかにあっても、今後さまざまな新しい技術が誕生するだろう。私どもはリスクの専門家として保険商品を一生懸命に開発していくことは当然だ。しかし、その新たなリスクに対応した商品が自動車保険に代わるような巨大マーケットを生むかというと、答えは明らかに「ノー」だ。つまり、成長の機会を保険も含めたサービス産業のなかに見つけていくことが必要となる。