たとえば、米ドルと日本円を半分ずつ持っているとしよう。この場合、まずは目減りしたドル部分のうち、半分にあたる額をユーロに替える。残りのドルは少しでも利率のいいドル建て債券にしておくのが望ましい。さらに、ドルが目減りした分、円の比率が高くなっているはずなので、その分を割安な日本株に投資するといいだろう。

長期的に安定収益を得るためには、いったん決めた比率を維持していくことが大切だ。そのためには年に一度程度はポートフォリオを見直し、元の比率どおりに組み直す「リバランス」が必要となる。値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買い増すことで、結果的にリターンを上げることができる。

その他の通貨を加えたいならオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ノルウェーなど先進資源国の通貨に、経済状況を見ながら投資するのが無難だろう。今ならいち早く10月に利上げしたオーストラリア・ドルなどを組み込むのもいいだろうし、中国元が基軸通貨の一つになりそうな状況になれば元建て資産を買っておくのも手だ。

邦銀などで扱っている外貨預金は、いったん解約して円に戻さないと他の外貨に替えられないため、手数料が高くつきがち。そこでリバランスに便利なのが、優良企業の債券や国債に投資する外貨建て投資信託「外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)」である。野村証券の「ノムラ外貨MMF」、日興コーディアル証券の「日興外貨MMF」であれば、直接外貨から外貨への交換ができるため、為替手数料を安く抑えることができる。外貨預金より利率が高めで流動性も高い。シティバンク銀行の外貨預金「マルチマネー口座」も、外貨から外貨へのスイッチが可能。ソニー銀行などもともと為替手数料が安いネット銀行の外貨定期預金を利用してもいい。この場合は1年定期を選択し、満期のたびにリバランスを行うといいだろう。

(構成=有山典子)