9月下旬から米ドル相場の下落が続き、ついに1ドル=90円を割りこんだ。1995年以来、実に14年ぶりの史上最安値水準だ。「今こそ外貨投資のチャンス!」と意気込む人もいれば、高値で買ったドル預金の目減りに気を揉む人も多いだろう。

外貨投資を資産運用として捉えたとき、忘れてはならないのが「ゼロサムゲームである」ということ。為替レートは通貨と通貨の相対的な価値を示すもの。一方が上がればもう一方は下がり、長く持っていればすべてが値上がりするというものではない。企業価値の上昇とともに市場の時価総額が上昇する株式投資とは大きく違う点である。

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いくら「円高」でも、外貨で巨利を得ようと思わないほうがいい。それぞれ値動きの異なる通貨を持つことは、長期的に安定した利益を生む分散投資の一翼と考えるべきだ。ただ、今後の日本の資源不足や人口減による国力低下を考えると、将来的には再び円安になる可能性も高い。為替差益によるインフレヘッジ手段としても有効な投資対象といえるだろう。

では、今であれば、どの外貨にどう投資すべきか。まずは、円、ドル、ユーロの比率を1対1対1とすることを考えよう。今後、米ドルが基軸通貨の地位を保ちつつ、ユーロが第二の基軸通貨としての地位を固める可能性が強いと考えると、このポートフォリオによる分散投資効果は非常に高いと考えられる。

次に、現在の資産ポートフォリオを見直してみよう。投資に回せる余裕資金について、円建て、米ドル建て、ユーロ建ての資産が最終的には3分の1ずつになるように組み替えていく。3通貨の比率が3分の1ずつでは外貨比率が高すぎると感じるなら、円比率が高めでもいいが、その場合も米ドルとユーロは1対1にしておくといい。