自己演出力があればキュンキュンの嵐

こうしてプライベートを公開するとなるとセキュリティが気になるが、フェイスシーンでは会員に自治体など公的機関が発行する「独身証明書」(そんなものがあったのか!)の提出を義務づけている。

聞けば、携帯アプリを通して、「身元確認」と「独身確認」を100%実施している婚活サービスは日本初。出会い系のように、サクラや既婚者の偽装登録などの心配をしなくていいし、結婚相談所のように高額な成婚料金をとられるわけでもない(利用料金は月3000円~)。

怖い、怪しい、不安などといいながらも、出会い系を含むネット婚活サービスの利用者は、その手軽さから近年増えていて、600万人近くもいると聞く。しかし、独身証明をとっているところはないため、既婚者などが侵入してきてしまい、ネット婚活の成婚率はアメリカが20%もあるのに対して、日本はたったの0.1%だという。これが安心安全だと分かれば、未婚者にとってはうれしいニュースに違いない。

現在は結婚紹介所へ独身証明を出しにいかないと入会できない仕組みになっているが、そのプロセスをもう少し簡略化できれば、この新しい「手のひら婚活」は悪くないと思う。

私としては、最寄りの駅で手続きができたり、会社の近くの喫茶店や自宅まで婚活コンシェルジェのような人が登録しにきてくれたりしたらいいなぁと思うけれど、それではあまりに面倒くさがり屋すぎるだろうか。いやいやそんなことはないだろう。最初の手軽さも、今後、ぜひとも検討していただきたい。

フェイスシーンを開発運営するアスクリードの甲谷雄一代表は熱く語ってくれた。

「幸せな結婚への近道は、自分がどうありたいのか、結婚してどういう人生を送りたいのか、まず自分自身を見つめ直し、それをアウトプットすることが大切です。フェイスシーンは、安心して自分を表現・発信できる機会を創出し、1人でも多くの人々に人生の最良のパートナーと巡り会ってほしいという想いから生まれたサービスです」

フェイスシーンに付随するビジネスチャンスもいろいろあるだろう。

例えば、8歳若く見える写真の取り方、自己表現の仕方、メイク術、着こなし術、気持ちの上がるレストラン情報、キュンキュンを押すタイミングなどなど。

現在、独身男女は……20~44歳で約1800万人、30~49歳で約950万人、20歳以上(高齢者含む)なら約2370万人もいる。市場は巨大だ。安心安全を担保できれば、この市場は急成長するのではないか。

手のひら婚活は未婚者の救世主となるのか。ますます未婚化するこの世の中で、「あなたが出会いに消極的だけど本気で結婚したい」というちょっと面倒くさいタイプなら、手のひら内における自己演出力に磨きをかけるべきだ。うまくいけば「キュンキュンの嵐」かもしれない。

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