「恋に億劫」な未婚者向けアプリ

「フェイスシーン」のHPより。

そんな妙齢男女の心理をつつきそうなサービスが、今年1月に誕生した。できたてほやほやの婚活アプリ「フェイスシーン」である。

婚活支援スマートフォンアプリは世の中にたくさんあるが、結婚相談所業界から発信する日本初のサービスだという。後述するように、サクラや偽装登録のない「安全・安心」面で他より秀でているようだが、私が一番注目したいのは、「お見合い版Facebook」のような機能だ。

結婚を希望する会員たちは、自分の日常のひとこまを写真や文で公開し、また他の会員の日常を手のひらで閲覧できるという仕組み。「今日◯◯へ行った」「◯◯を食べた」そんなネタをアップすることで自分をアピールしつつ、異性を品定めする。もちろん会話もできる。それらは、友人と日常をFacebookでやりとりするような感覚だ。

きっと会員は、電車に乗りながら、家でリラックスしながら、入浴しながら、眠る前にちょっとと、少しずつ相手を知ることができるだろう。これなら万年「恋待ち人」状態の“ぐーたら”な人々も動いてくれるのではないか(動かすのは指だけだし)。

フェイスシーンの機能でユニークなのは、いいなと思う人がいたら、「いいね」ではなく、画面上の「キュンキュン」というマークを押して相手に気持ちを伝えられるということ。マークを押すくらいなら、億劫ではないはずだ。

多くの人から、「キュンキュン」されたら、まんざらでもなくなってくるというのが、人間の心理だ。友達の「いいね」で、どこまでも気分が上がる筆者である。もしも自身が未婚で、出会いを願っていたら、「キュンキュン」してくる相手が気になり、その人の日常をついついのぞいてしまうに違いない。そこには、1度会っただけでは分からないその人の空気感とかセンスが現れているはずだ。

会ってもいいかも、と思う相手がでてきたら、「キュンキュン返し」をしてデートを申し込んでしまいそうだ。人にせっつかれることなく、自分のペースでできるのもいい。

ひとりが「キュンキュン」できる回数は契約しているコースにより1週間に3~7回と決まっているというから、誰彼アタックすることもできない。ちょっとしたゲーム感覚という部分がドキドキをもたらすし、手のひらだけにダメでもそんなに傷つきそうもない。なんだか恋愛不感症になりつつある未婚男女も重い腰を持ち上げそうな予感がする。

このアプリは実際に、「ふたりが会うこと」にフォーカスしているので、もしもデートすることが決まったら、おすすめのレストランなども推薦してくれるという。至れり尽くせりだ。

思うに、「キュンキュン」をたくさんもらえる人は、公開する個人情報のクオリティの高い人だろう。風景やモノの写真にセンスが感じられる。文章にきらりと光るものがある。多くの読者がいて、(広告)収入を得ているブロガーやユーチューバーのような表現力やサービス精神が少しでもあれば、好感度はぐんと高まるだろう。