1. 弱みを握る
情報は自ら取りにいく

「社員に素直に指示に従ってもらうには、社員の弱みを握ることが一番。商談でも相手の弱みを握っていたほうが交渉を有利に進められますが、それと同じことです。

うちの幹部社員たちが私に頭が上がらないのはなぜか。いまから20年以上前、彼らが消費者金融で借金して首が回らなくなったとき、私が業者と交渉して問題を解決したからです。昔の話ですが、『あのときの話を部下に話すぞ』といえば、幹部社員も渋々いうことを聞く(笑)。

社員の恋愛情報も弱みとして使えます。うちは社内不倫厳禁で、発覚したら一般社員は即解雇、幹部社員は一般社員に降格です。ただ、社内恋愛は自由なので、陰でいろいろくっついたり離れたりしている。そうした情報を入手するのは、社内でも私がもっとも早い。だから弱みとして使えるのです。

社員同士の恋愛は、定点観測をしていたら察知できます。わが社では毎月一回、環境整備点検で私が各営業所を回ります。そのとき前回と雰囲気が変わってかわいくなった女性社員がいたら、プライベートで変化があった可能性が高い。

変化のあった社員を見つけたら、タイムカードをチェックします。関係を周囲に知られたくない2人は、会社から離れたところに車を停めて、女性を先に行かせて10分後に男性が入るというパターンで出勤してきます。ただ、雨の日は濡れることを嫌って会社の近くまで車で女性を送るため、出勤時間の差がほとんどない。タイムカードでこのパターンに該当する2人がいたら、十中八九つきあっていると見ていい。カマをかけて聞いてみると、『なんで社長が知っているんですか』と驚かれることがほとんどです。

このような情報は向こうから勝手にやってくるわけではない。社長自ら取りにいって、はじめて弱みとなる情報を入手できるのです。(小山)