慶應義塾大学を卒業した財産

鈴木さんには、私立の女子高(東洋英和女学院)在籍中に、「大学に入ったら、トレーナーになろう」と思うきっかけがあった。この頃、海などで人命救助や事故防止をするライフセービングに関心を持った。講習を受け、溺れた人の救助や脈、呼吸がない人への処置などを学び、資格をとった。その姿が当時、全国紙で報じられた。

慶應大学を卒業したことの「財産」は、意識の高い友人に恵まれたことだという。

「プライベートのことを含め、友人に相談をすると、その回答にとても深く納得するものがあります。皆、個性的で、空手で世界一になった女の子もいますよ……。こういう友人たちに巡り合えたことが、いちばんの財産です」

入社4年目(2011年)になるとき、人事部から情報制作局情報制作センターへと異動になった。この際も、「学歴をもとに異動になったとは思えない」と話す。

「自分たちの将来の希望を書いたレポートを、年に一度、上司に提出する機会があります。そこで、私は情報番組の制作セクションへの異動希望を出していたので、上司の判断や、私の希望や適性、そして異動先の部署などの考えを含め、総合的に決まっていくと思いました。何年も前に入社したときの学歴をひっくり返して確認するようなことはしていなかったのではないでしょうか」

現在の部署での「実績」といえば、ディレクターとして多くの人に受け入れられるような、レベルの高いものをつくったか否かだという。鈴木さんは、自らに言い聞かせるように話す。

「難易度の高い大学を卒業していようとも、モノをつくれない人は制作の現場には残れないと思います。私もがんばらないと……。とにかく、いいモノをつくりたいです」

今後、ライフステージが変わっても、可能な限り、番組制作に関わりたいと願っている。

「慶應大学在学中に学んだ親子関係論や母子関係論などの知識や、ラグビー部でのトレーナーの経験を生かし、“人の心の奥深くにあるもの”を浮き彫りにする取材をし、心に残る番組を作っていきたいと思っています」

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