「空き家」問題は解決できるのか

所有者が実際に入居しておらず、放置された「空き家」が、大きな社会問題に発展してきている。その数は2013年10月時点で全国約820万戸と住宅総数の13.5%を占め、実に7軒に1軒が野ざらしのままだ。都市部においては地域コミュニティーの崩壊や防災・防犯面での住民不安を生んでいる。

これには国・自治体が法制化を含む対策にようやく重い腰を上げる一方、民間企業は所有者にとり“持ち腐れ”になりかねない資産の有効活用を促す事業に乗り出した。

戸建て住宅最大手の積水ハウスと信託銀行最大手の三井住友信託銀行グループ、さらに警備保障大手の綜合警備保障(ALSOK)の3社は昨年11月、空き家の利活用を所有者に対して共同で提案するサービスの提供で提携した。三井住友信託銀グループの不動産仲介会社、三井住友トラスト不動産を窓口に、所有者に対して空き家の解体、売買、建て替えやリフォーム、さらに巡回などのセキュリティー管理、金融機関への紹介など、総合コンサルティング業務を展開する。3社それぞれが得意とする分野で連携し、空き家ビジネスに育成することを狙った。

不動産仲介大手としては、東急リバブルが空き家の売却支援サービスを昨年8月にスタートし、住友不動産販売も3月末までの期間限定で、同社の負担により空き家、空き地の売却を支援するサービスに乗り出した。このほか、事業構造改革により住宅分野を中核事業に位置づけるパナソニックは、一般社団法人の移住・住みかえ支援機構と連携し、空き家の再生事業に乗り出す方針で、両者は今年春にも物件情報サイトを設け、リフォームした住宅を子育て世代などに貸し出す計画が伝えられている。