大会でいい成績を残したいランナーはどうすればいいのか。

今や正月の国民的行事となった箱根駅伝。視聴率が30%近いというからものすごい人気である。大学生ランナーは1区間約20キロメートルを走り、襷を繋ぐ。彼らは月に1000キロメートル近い走り込みを経て本番に臨むという。箱根駅伝の時期も風邪の流行る季節である。1人の不調がチーム成績に影を落とすから、各チームともに風邪対策には細心で最新の注意を払う。

駅伝の常連チーム、國学院大陸上競技部を率いる前田康弘監督はこう話す。

「栄養面、衛生面で普段から感染症予防には気をつけていますが、風が冷たくなるころから対策を強化します。まず合宿所の各部屋にウイルス抑制の空気清浄剤を備えます。そのうえで『出ない、入れない』。選手はなるべく人ごみに出かけない。そして合宿所には人を入れない。家族やOBの励ましも、極力辞退してもらっています。面会謝絶です」

駅伝アスリートは重篤な入院患者のような扱いを受ける。それでも風邪をひく選手が出てくるという。

「年末、箱根を走るメンバーリストが決まります。風邪をひくのはリストに漏れた補欠の学生が80%程度を占めます。緊張感が切れてしまうのでしょうか。そういう現象はどの大学の監督も認識していて、選ばれたメンバー以外を合宿所から実家に帰すチームもあるそうです。ウチはそこまでやりませんけど」

駅伝でもマラソンでも、月に1000キロメートル走るなど自分を追い込み、厳しく練習しないと試合では勝てない。しかし頑張れば頑張るほど、感染症リスクも高まる。このジレンマを賢く乗り越えた末に、勝利の栄光がある。

「マラソンなどの長距離走は、大人の競技である」とはよく聞かれる言葉だ。いいタイムを出すためのレース戦略、目標から逆算した練習戦略には大人の成熟度が必要である。

そして、プラス自己管理だ。絶対に風邪をひかない、という決意と、それにもとづく環境整備が必要なのだ。

ビジネスシーンが遠大なマラソンレースだとすれば、感染症対策(=自己管理)は重要だ。そこに配慮できるかどうかで勝負が決まる。

(時事通信フォト=写真)
【関連記事】
なぜ集中力を高めると病気になりにくいのか
鍼灸師に教わる「風邪の治し方」
うがいは、頭を傾けて歌いながらが正解
マスク、うがいは? インフルエンザの予防法
病気にならない「ヨーグルト習慣」のススメ