2015年2月20日(金)

日本人がポルトガル料理にハマる理由

dancyu 2013年2月号

文・馬田草織 撮影・公文美和 料理製作・佐藤幸二(ポルトガル料理店「クリスチアノ」オーナーシェフ)

フランスといえば、ワイン。スペインといえば、バル。では、ポルトガルといえば?「……ザビエル!?」

スペインやフランスと地続きの国なのに、圧倒的に知名度の低いポルトガル。でも最近、このマニアックなポルトガル料理のファンが急増中だ。一体なぜだろう?

ポルトガル人の大好物、鰯の炭火焼きは、じゃがいもや焼きパプリカを添えるのがポルトガル流。干しダラとフライドポテトの卵とじ、緑のスープも欠かせない家庭の味。

ポルトガル料理は、飾り気のない素朴な家庭料理。「初めて食べたのに、なんだか懐かしい」と感じる人が多いこともまた事実。この親近感が、リピーターを増やしているのかもしれない。

ポルトガルの食卓を覗くと、そのヒントになりそうな光景を目にすることができる。日本と魚介の食べ方がそっくりなのだ。タコはおじやに天ぷらに、小アジは南蛮漬けに。なんと、ポルトガル人が泣いて喜ぶ故郷の味は、しっかり塩をふって炭火で焼いただけの鰯! 鰯シーズンが始まる6月には、首都のリスボンで鰯祭りが盛大に開かれ、もうもうとたちこめる煙の中、鰯サンド片手にワインを楽しむ人で最高に賑わう。なんて魚好きな人たちなんだろう!

ポルトガルの国民食である干しダラ(バカリャウ)料理も、日本人にじんわり響く味。塩漬けにしてから干してカチコチに仕上げた干しダラは、水で戻してありとあらゆる料理に使うのだが、塩の抜き加減と干しダラのだしが料理の味の決め手になる。干しダラを使うポルトガルの料理は、日本人も大好きな、魚の旨味と塩加減が味の基本になっている。

ポルトガルってどんな国?
ヨーロッパの最西端に位置し、イベリア半島でスペインと隣り合うポルトガル。国民の約9割がカトリック信者。国土は日本の約4分の1で縦に長く、緑あふれる北の山間部から、オリーブの木やコルク樫が点在する乾いた南部まで表情も豊か。約半分が大西洋に面しているので海の幸にも恵まれ、かつて領土を巡って争ったアラブの影響で米もよく食べる。16世紀の日本に、揚げ物、卵や肉、ワインやパンなどの食文化を伝えた国でもある。
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馬田 草織