最近は昼食にお弁当を食べる人が多いと聞く。女性に限らず、ビジネスマンにも弁当派は多く、弁当箱の売れ行きもいいそうである。お弁当派が増えている理由には、経済的な節約志向のものから、ヘルシーな食事を摂りたいという、メタボ対策もあるようで、いずれも理に適っている。

ただし、一つ気になることがある。20代、30代の独身男性に、自分で弁当をつくる例が増えているというのだ。

実は不経済な存在だった草食系男子!?
図を拡大
実は不経済な存在だった草食系男子!?

世には「草食系男子」なる言葉が飛び交っており、耳障りで仕方がない。グーグルで「草食系男子」を検索すると、ヒット数は何と約300万件。「女性を恋愛対象としてより一人の人間として尊重する」「恋愛よりファッションや暮らしにお金や時間をかける」「傷つけられるのを避けるなど」さまざまな定義がある。

女性を人として尊重するなど、当たり前のことであり、何にお金をかけようが各自の勝手である。どことなく茶化されているような響きもあり、男としては癇に障るものがある。

などと息巻いていると、事務所の女性スタッフが囁いた。「イマドキの女性にとって草食系男子は好感がもてる存在です。褒め言葉だといっても過言ではありません」と。なんでも、昼休み、自分でつくったお弁当を広げている男性社員は、「家事に協力してくれそうで、結婚相手としてポイントが高い」という。

これは驚きだ。たしかに男性も家事参加すべきだ。しかし、そんな草食系男子が部下にいたら、じれったく感じる読者の方も少なくないはずだ。

お弁当をつくるのは立派な家事労働だが、GDPには加算されない。仮に手づくり弁当派になることで1日500円節約できるとしても、経済的な収支はどうなのだろう。買い物、調理、片付けなどで30分かかるとする。年収500万円の人の1時間当たりの時給は「500万円÷12カ月÷22日÷8時間=2367円」で、30分なら1183円。それだけ価値のある時間を弁当づくりに充てることが、経済的といえるのか。

業務の改善プランを作成する、企画を立案する、新規開拓先を模索する、資格を取得するなど、何かほかにすべきことがあるはずだ。上司や同僚、部下、異業種の友人とコミュニケーションを図れば、何か発見があるかもしれない。20代、30代ならもっと本業に関連することに精を出すべきだ。

いっそのこと、弁当をつくるというのなら、自分ひとりで食べて満足するのではなく、それを売ってビジネスをしたらどうだろう。成功に導くためには考えなければならないことが山ほど出てくる。

どんなメニューなら買ってもらえるか。味も栄養バランスも見た目も大切だから、研究が必要になる。価格はどう設定するか。コスト計算のスキルが問われるし、マーケティングも欠かせない。予約制にするのか、売れ残りが出たら値下げ販売に踏み切るのか、判断力も求められる。試食会をするなど、効果的な宣伝方法も考えたい。

私は以前、会計士の仕事をするかたわら、家族の協力を得て小さなたい焼き屋を経営した。会計士の仕事を深めるために、ビジネスを体感したかったからだ。やったからこその気づきは多く、貴重な財産となっている。

実家の農作物を都会で働く仲間に売ってみる、不要な物を抱える人とそれを必要とする人を仲介してレンタルの仕組みをつくるなど、大がかりな準備がなくてもビジネス体験はできる。学生のうちに、できれば義務教育で体験したいことだが、社会人になってからでも遅くはない。率先してチャレンジする精神を養えば、草食系ではなく、肉食系だ。ビジネスの苦労も喜びも知ってこそ真の優しい男、と思うのだが……。