理想の経営者は誰かと聞かれれば、まず渋沢栄一翁をあげる。生前の渋沢翁はたくさんの人から慕われた。人間的な魅力は経営者の大事な要素の一つ。万人受けを狙う必要はないが、一流の経営者にはユニークな魅力がある。

書名は唐代の言行録『貞観政要』にある名臣・魏徴の詩である。人間とは金銭や名誉ではなく、他人の意気に感じて仕事をするもの、という意味だ。渋沢翁はまだ「士農工商」の考え方が根強かった時代に、大蔵省の重職をなげうって民間に転じている。「日本資本主義の父」と呼ばれ、銀行や証券取引所の設立など数多くの事業を手がけたが、財産は残さなかった。「人生意気に感ず」とはまさに渋沢翁の生き方を象徴する言葉だ。