2015年2月13日(金)

エスプレッソのおいしさとは?

「OMOTESANDO KOFFEE」國友栄一さんに聞きました。

dancyu 2013年2月号

文・上島寿子 撮影・邑口京一郎 教える人:國友栄一(「OMOTESANDO KOFFEE」)

エスプレッソ、好きですか? どんなタイミングで飲みますか? 砂糖を加えてぐっと飲み干す薬のようなもの、と思っている方、「表参道コーヒー」のエスプレッソを、一度飲んでみませんか。

コーヒーは好きだけれど、エスプレッソは苦手、と言う人は意外に多い。私もその1人だ。理由は単純、苦いから。砂糖を何杯放り込んでもミルクでごまかしても、やっぱり尖った苦さは得意じゃない。

ところが、「表参道コーヒー」のエスプレッソを飲んで世界観は一変した。口に含めばふわっと舌を包み込むようなまろやかさ。とろりと濃厚なのにちっとも苦く感じない。余韻もふっくら華やかで、「エスプレッソっておいしい」と生まれて初めて実感することができた。一体、何が違うのだろう。

自慢のエスプレッソ・ソロ。とろりと濃厚なのに透明感があり、すべてがまあるくやわらかい。その味わいはホットチョコレートを思わせる。客の好み通りに無限の味をつくり出すことができる。

「うちのエスプレッソは日本人の味覚に合わせてつくっているんです」

こう話すのはバリスタの國友栄一さん。イタリア至上主義のエスプレッソ業界にあって、日本人に目を向けたエスプレッソというのは、あまりない発想だ。

「エスプレッソのおいしさは、苦味でなく旨味。飲んだ後の余韻を楽しむものなんですね。イタリア人は1日1回はバールに立ち寄り、エスプレッソを飲む、それが生活のルーティンになっている。でも、日本ではイタリアのように毎日は飲みに来てもらえない。値段を下げても、結果は同じ。それで気づいたんです。イタリア式のエスプレッソは、日本人が毎日飲みたくなる味ではないんだって。だったら、日本人が毎日飲みたくなるエスプレッソをつくろうと思ったんです」

改革のきっかけになったのは砂糖の問題もあった。エスプレッソは砂糖を入れて完成するものだが、ドリップコーヒーをブラックで飲む習慣が根強い日本では、エスプレッソを飲むとき、なかなか砂糖に手を伸ばしてもらえない。以前は提供する都度、「お砂糖を入れたほうがおいしいですよ」と声をかけていたそうだが、「だんだん言うのが面倒になってきた(笑)」。であれば、砂糖を入れなくてもおいしくて、なおかつ日本人好みのエスプレッソにすればいい、そう思った。

具体的に何をどう変えたのだろう。

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上島 寿子