最悪のシナリオは「国外逃亡して資産なし」

図1:外国人犯罪は15年で9倍に増加。しかも全国に拡大中!
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図1:外国人犯罪は15年で9倍に増加。しかも全国に拡大中!

観光、就労、留学など目的はさまざまだが、日本を訪れる外国人が増えている。それにともなって増えているのが、外国人による犯罪や外国人との間でのトラブルだ。

日本国内で罪を犯せば、外国人であっても基本的には日本の法律で裁かれる。主権国家として、日本は裁判権を有しており、裁判の管轄権も日本にある。

したがって、外国人であっても日本の法律に基づいて起訴されたり、裁判が行われる。窃盗や傷害、殺人といった刑事事犯には、通訳などもつき、日本の刑法に基づいて罰を受ける。

ただし、これが適用されるのは日本国内で逮捕されたり、トラブルを起こして訴えられた外国人が日本に住んでいる場合に限られる。実際、犯罪を行った外国人は国外に逃亡するケースが多く、こうなると日本の警察当局が逮捕することも、日本の法律で裁くこともできない。

この場合、まずはICPO(国際刑事警察機構)を通じて、逃亡先の国の治安当局に対して「犯人を逮捕して引き渡してくれ」と要請することになる。しかし、仮に犯人が逮捕されたとしても、簡単に引き渡しをしてくれるわけではない。通常は、相手国と「犯罪人引き渡し条約」という国際条約を結んでいなければ、犯人が日本に護送され、日本で裁きを受けることはない。日本がこの条約を結んでいるのはアメリカと韓国のわずか2カ国のみで、他国に比べると極めて少ない。

そのため、しばしば「逃げ得」がまかり通ってきた。しかし、日本の警察当局が、例えば逃亡先国の「国外犯処罰規定」の適用を要請することがある。日本で行った犯罪に関する資料を逃亡先国の警察当局に提供して、その国の法律で処罰を受けさせるというものだ。

図2:中国人は住宅等への侵入盗、ブラジル人は車上狙いが多い!
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図2:中国人は住宅等への侵入盗、ブラジル人は車上狙いが多い!

実際に、日本で強盗殺人を犯したブラジル人がブラジルに逃亡したケースでは、国外犯処罰規定を要請し、強盗殺人の罪で逮捕、起訴され、有罪判決が言い渡されている(「静岡県浜松市におけるレストラン経営者強盗殺人事件」・2005年11月発生)。

ややこしいのは次のような民事事件のケースだ。

外国人の運転する車にぶつけられて、損害賠償を請求して裁判を起こしたとする。相手が日本に資産があれば、それを差し押さえることは可能だ。だが、日本には資産がない場合、国外にある資産を差し押さえることになる。しかし、これにはその国の法律に則った裁判と弁護士費用がかかるので、結局は泣き寝入りといったケースもたくさんある。

そんな事態に巻き込まれないためには、素性のよくわからない相手とはつきあわない、怪しい店には行かないといった自衛手段を講じるしかない。

※すべて雑誌掲載当時