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自分でキャリアを切り開く体制

そうなると上司が果たすべき役割とは何か。ずばり、“背中で教える”ことに尽きる。

「一番の成長につながっているのは、プロジェクトでいろんな人と仕事をすることだと思います。たとえば、プロジェクトミーティングのときにメンバーの物事を進める際の進捗のノウハウを学ぶ。そういう人がロールモデルになっている。誰が成功しているのか、あるいは誰が昇進しているのかが見えてきますし、昇進するのはこういう人になることなのだと自然に学びます。私もそうですが、ものの言い方とか、方向性の立て方にしてもロールモデルがいますし、そういう人がいることが成長を支えているのだと思います」

各人において自分がやるべき仕事を持ち、仕事の成果と能力を極めることが求められている風土では時間も貴重だ。会議は大事だが、エンジニアにとっては少なければ少ないほどありがたい。実際にメンバーを招集しても30分単位の会議が主流だ。

「30分単位が多いですね。1時間、1時間半になると、何を話すの、そこまでやる必要があるのと事前に問い合わせてきます。自分にとって必要でないと思う人は出席しない場合もある。だから会議を開催するにあたっては本当に必要な会議かどうかを考え、しっかりしたアジェンダを用意し、的確な人選が求められます。参加者の時間を有効に使えるかどうかを常に意識しています」(徳生氏)

極端に言えば、会議への参加、不参加の自由度も成長する環境の1つになっている。一方でメンバーの一員として複数のプロジェクトに参加し、協働で製品を開発する以上、情報交流は不可欠だ。大倉氏は「グーグルの社員は妙に親切」という。

「皆さん忙しいのですが、問題点が見つかり、社内のチャットを使ってアメリカやヨーロッパの人に教えてほしいと頼むと、すぐに資料を送ってくれます。関係していないプロジェクトの人間であっても世界中がチームメートという感覚で結びついているのもグーグルの特徴です」

(ライヴ・アート=図版作成)
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