中小企業の間でも、管理業務にクラウドサービスを上手に活用する動きが広がっている。そのなかで、ラクスの「楽楽精算」は、そのコスト削減効果でユーザー企業数を急激に伸ばしている。多くの企業から支持される理由はどこにあるのか──。同社代表の中村崇則氏に聞いた。

経費精算のIT化で、
業務はどう効率化されるのか?

中村崇則●なかむら・たかのり
株式会社ラクス
代表取締役社長

1973年生まれ。96年、神戸大学経営学部を卒業し、日本電信電話(株)入社。2000年に(株)ラクスを設立し、代表に就任

交通費などの経費の精算については、所定の用紙に書き込んだり、エクセルのフォーマットに入力したり──。そうした企業様が多いかと思います。それが当たり前になっていますから、なかなか気付きにくいのですが、実はこの経費の精算業務には多くの無駄が隠れています。

例えば、交通費を精算する際、申請する社員は自分が使った交通機関の運賃をインターネットで調べて、一件一件所定の用紙に記入し、上司に申請します。上司は、申請内容を確認して経理に回し、経理部門では金額に誤りがないか、定期区間が控除されているかなどをチェック。その後、仕訳、財務会計へ入力などを手作業で行います。

このように、経費の精算業務はデータ入力、確認に多くの労力を要します。そのため、経理部門の方からは、「経費精算業務がボトルネックとなり、各種数字の経営分析まで手が回らない」という話はよくお聞きします。

そこで当社が開発したのが、“申請→承認→精算”の一連のフローをすべてIT化する「楽楽精算」というシステムです。乗換案内ソフトを内蔵し、交通系ICカードの履歴を読み込む機能もあるので、ご活用いただくと、まず申請の手間が大幅に軽減されます。加えて、申請ミスが減り、上司、経理部門の承認やチェックもスムーズになる。さらにクラウドサービスのため、外出先でも申請や承認を行えるのが見逃せないメリットです。

おかげさまでここ数年、導入企業数は着実に伸びており、昨年650社を突破しました。これは、前年比で約85%増の数字となります。

どれくらいコストを
削減できるのか?

もともと「楽楽精算」は、当社自身の経費精算業務の改革を目的につくったシステムです。数年前、社員数が100人程度だった頃、経理担当の二人が長時間残業を強いられていました。「これではいけない。人がやらなくてもいい単純作業はITにやらせよう」という考えのもと開発したのです。

実際使ってみると、経理部門だけでなく、営業部門などの業務効率化にも貢献し、大きなコスト削減を実現できました。具体的な削減額は、社員数100人の時に、年間約205万円。これは経理業務、承認業務、申請業務それぞれのコスト削減を合計したものです。

さらに社員数300人の段階では、従来の手作業中心では750万円以上かかるはずのものが240万円以下に。約70%ものコスト削減効果が出ています。

「楽楽精算」には経理部門が重宝する機能を多く搭載しており、例えばその一つに「自動仕訳」があります。この機能では、申請者が選んだ項目をそのまま勘定科目や税区分に紐付けられるので、経理担当は仕訳作業をする必要がありません。さらに、データは財務会計ソフトに取り込めるので、あらためて入力し直すといった手間も発生しません。

ユーザー企業様からは、「経費の申請にかかる時間が3分の1になった」「これまで5人でやっていた精算業務を二人でできるようになった」といった声をいただいています。

「楽楽精算」はカスタマイズ性が高く、既存の業務フローや書式に合わせた形での運用が可能。導入によって、きっとその利便性やコスト削減効果を実感いただけると思います。

導入にあたって、
何か準備は必要か?

先ほど少しお話ししたとおり、「楽楽精算」はクラウドサービスとしてご提供していますので、インターネットにつながる環境があれば、特別な準備は必要ありません。

クラウドサービスの特長は、外出先でも使えることに加え、常に最新のシステムをご利用いただけること。例えば鉄道運賃の改定や新路線の開通があっても、弊社側でシステムの調整を行うため、お客様サイドでのメンテナンスは不要です。

サービスの利用料金は、初期費用10万円で、月額3万円~。無料トライアルもご用意していますので、まずは気軽にお試しください。

経理や営業をはじめ、それぞれの部門には、本来行うべき重要な業務があります。無駄な手間を省き、それに集中する時間を生み出してくれるのが「楽楽精算」。ぜひ、当たり前になっている現在の経費精算業務を見直し、業務改革や生産性向上のきっかけをつかんでいただきたいと思います。

また、ラクスでは「楽楽精算」以外にも生産性向上に寄与するツールを多彩に提供しています。例えばWEB帳票発行システム「楽楽明細」は、紙の請求書や納品書などを「電子化」させるシステム。郵送や印刷の費用だけでなく、手間も大幅に削減することができるため、本業への集中をさらに高めることが可能です。

今後も弊社は、システムや機能にさらに磨きをかけ、皆様のいっそうのお手伝いができればと考えています。