どんどん食べてくれ、君のお金で!

会場には空席も目立った。

私は岡田がとても羨ましい。私としても官僚や政治家、文化人を高級ホテルの有名フレンチに集めるだけ集めて「好きなものを好きなだけ食べてください。飲んでください。いくらでも、遠慮せずにどうぞ」と言って、あとから全額を容赦なく徴収する。一度はやってみたい夢だ。

自分が代表になったら、何事も徹底的に話し合って民主的な党運営を心がけると言っていたが、話し合っても永遠に決まらないのが民主党だということを学習できていないようだ。相変わらず脇も甘い。公開討論会で維新の党との細野の密談内容を暴露する一幕があった。「なかったことになった話を表沙汰にする」政治家は、今後信頼されない。

政権運営の実力もないのに、実現不可能なマニフェストで国民をだましたことを反省すべきだ。今回の代表選挙の中で、そうした反省が聞こえてこなかったのが非常に残念だ。

代表選候補者で唯一反省の弁があったのが長妻。「官僚との接し方は反省しています」とのことだ。自覚があったことが非常に驚きだった。ほとんど盛り上がることがなかった会場が、この発言のときだけ大爆笑に包まれたところを見ると、民主党議員や支持者にとっても頭痛のタネだったのだろう。

安倍政権への批判票がそのまま入ってくるという野党第一党のメリットを最大限甘受しても、岡田民主党には厳しい道のりが待っている。「働く人」のための党だと主張しても、賃上げを成功させたのは、アベノミクスだった。教育政策の理論的支柱だった鈴木寛も、民主党を見限り文部科学大臣の参与となり、今度は補佐官に就任する。今回の代表選挙で、鳥取県、沖縄県の党員・サポーター票が3候補あわせてそれぞれたったの409票、264票だった(無効票含む)。情けない限りだ。

存在意義もなくなり、歴史的使命を終えた民主党の再生は困難だが、時間だけはある。安倍政権とそれに続く自民党政権で10年は政権の座にはつけないのだから、これからも迷走を続ける猶予は残されている。衷心よりお見舞い申し上げる次第である。(文中敬称略)

(撮影=村上庄吾)
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