花粉症の人にはつらい春の幕開け

外はまだまだ寒いが、花粉症の人には憂うつなシーズンが近づいてきた。花粉症の原因の約7割はスギ花粉。日本気象協会の予報によると九州や四国では2月5日頃、関東、近畿地方では2月10~15日頃からスギ花粉の本格的な飛散が始まりそうだ。今シーズンの花粉の飛散量は、関東甲信越、東北、東海地方では例年並み、近畿から九州にかけてはやや少なくなると予測される。ただ、昨シーズン花粉の飛散が少なかった関東甲信越、東北では昨年の2~3倍飛ぶとみられ、花粉症の人にはつらい春の幕開けになりそうだ。

花粉症の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ・充血、涙目。中には、口の渇きや喉の違和感、皮膚のかゆみが出る人もいる。症状をできるだけ抑えるには、まずは外出時にはマスク、メガネをして目、鼻、口の粘膜から花粉が入るのを防ぐことが大切だ。花粉症用マスクによって体に入る花粉の量を6分の1、花粉症用メガによって4分の1に減らせるという。

花粉症の人は毎シーズン実践していると思うが、外出から帰った時には玄関の前で花粉を払い落とし、室内に持ち込む花粉は極力少なくしよう。上着はウールのようなものではなく、ツルツルした素材のほうが花粉は付きにくい。テレビ、新聞、インターネットなどで花粉症情報をこまめにチェックし、飛散量が多い日には不要な外出は控えたり洗濯物や布団を外に干したりしないようにするのもポイントだ。地域にもよるが花粉の飛散が多いのは一般的に午後1~3時頃なので、ウォーキングやランニングをしている人はその時間帯を避けたほうがいいだろう。花粉飛散開始日(1平方センチメートルにスギ花粉が2日以上連続して1個以上観測された最初の日)には、6割の人に症状が出ているそうなので、マスクやメガネは少しずつ花粉が飛び始める1月下旬ごろからしたほうがよさそうだ。

治療も早めに始めるのが肝心だ。例年強い花粉症に悩まされ仕事や生活に支障が出る人は、花粉飛散開始日か、その前から抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ロイコトリエン薬といった飲み薬を服用するとシーズン中の症状が軽減される。早期に治療を始めて強い症状が出なければ、結果的にシーズン全体での薬の量を減らせるわけだ。

抗ヒスタミン薬は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑える薬で、第一世代と第二世代がある。最近では、第一世代より効果が高く眠気や喉の渇きの副作用が少ない第二世代の薬が主流になっている。1日1回服用すればよい薬もあり市販薬にもなっているので、医療機関に行く時間がなければ市販薬でしのぐ手もある。ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、花粉に反応する体内物質(ヒスタミン、ケミカルメディエーター)の算出を抑える薬。2週間くらいしないと十分な効果が出ないので、早めに使い始めたほうがよい薬だ。また、抗ヒスタミン薬と組み合わせて使われることが多い抗ロイコトリエン薬は、鼻の粘膜の腫れを引き起こすロイコトリエンの働きを抑える。