図表を拡大
各社のサービス内容はこれだけ違う

だが、春秋航空日本の社内では当初から「日本では我々には知名度はない。広告宣伝費を使わずどうやって営業活動すべきか」という危機意識があったという。結果的には、それが運航先の自治体や地元企業からの協力を最大限活用するという営業スタイルに結びつくことになる。

同社の営業担当者らは、他の先行するLCCとの差別化のために「アイデア会議」を立ち上げた。議論されたのは「我々にできることは何か。スターバックスを300円で提供しても差別化にはならないだろう」。そんな折、提携先のJTBから前述のイタリアンコーヒーの輸入販売元を紹介してもらい、導入を決めた。「LCCの機内サービスは有料が基本だが、100円ならお客さまにも抵抗はないだろう。飲み放題にしたのも、1時間半のフライトで何杯もお代わりする人はいないだろう」とのしたたかな計算からだ。

それ以外の機内サービスや販売商品は、運航先の地元企業の名産品を採り入れることにした。広島醸造の「カープチューハイ」などが売れ筋だそうだが、同社の販売品目一覧を見ると、まるで「空飛ぶ道の駅」だ。これも前述の「アイデア会議」から生まれた方針で、「福岡や新千歳といった主要路線ではなく、地方路線に運航する我々は機内サービスにも地方色を出していきたい」(長谷川副室長)と考えたからだった。

前述の小川教授によると「(春秋航空日本の地元と組んだ地方色打ち出しは)サービスの現地化という意味で効果がある。これは中国イメージの打ち消しにも役立っている。100円飲み放題も、すでに日本の消費者にとってなじみのあるファミリーレストランのドリンクバーのスタイルを真似ていることから、スマートなやり方」だという。