少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。家計を守るひとつの方法として、保険との上手なつき合い方を探ってみよう。

気象庁がいつ起こってもおかしくないと切迫性を指摘する東海地震、死者が約32万人に上ると見積もられている南海トラフ地震などの巨大地震は、もしかしたら今後30年の間に発生するかもしれない。「大地震が起きても生きていられるように日頃から準備しておくことが大事」(楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元氏)であることは言うまでもないが、無事に生き延びたとしても、家が壊れていては生活再建もままならない。

国からの支援金は全壊でも100万円

国は地震、津波、液状化など自然災害で全壊、大規模半壊した住宅を対象とした「被災者生活再建支援制度」を用意している。住宅の被害程度に応じて支給する基礎支援金は全壊等100万円、大規模半壊50万円。住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金は再建方法が建設・購入で200万円、補修100万円、賃借(公営住宅を除く)50万円で支給額は両方の合計額になるが、最大でも300万円にとどまるため、支援金だけで住宅を再建するのは困難だ。

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地震保険料と居住地・建物の構造

そこで検討したいのが火災保険とあわせて契約する「地震保険」である。設定できる保険金額は火災保険の支払限度額(保険金)の30~50%の範囲内。対象は建物と家財で、両方の補償を望むのであればそれぞれ契約する必要がある。保険金が火災保険の半分という点が気になるが「火災保険の支払限度額が2000万円なら、50%にしておけば地震保険では1000万円受け取れます。このお金があるのとないのでは大違いですよね」とファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓氏。

保険金は全損であれば100%支払われるが、半壊では50%、一部損では5%でしかない。これをどう評価するかだが「壊れた家の住宅ローンが残っていて、新築すると二重ローンになりそうという人は検討の余地がある」とファイナンシャル・プランナー深野康彦氏。また家財は損害の程度によって出ないことがある。ファイナンシャル・プランナー藤川太氏は被災者から東日本大震災時に「テレビが壊れたのに地震保険が出なかったという連絡を受けた」と言う。実は家財の損害は一部損(損害額が家財全体の時価の10%以上となる損害)に該当しない場合は保険金が支払われないのである。

なお地震保険料は2014年7月から保険料率が改定されて平均15.5%値上げされるため「早く5年契約に切り替えたほうがいいですよ」と藤川氏は呼びかける。火災保険料も15年度に3~5%程度値上がりする見通しである。

【ヒント】「地域」「建物」の構造で保険料に大きな差が

地震保険料は居住地と建物の構造で大きく違う。地震の危険度が低く、壊れたり燃えにくい建物のほうが安い。なお等地は従来4区分だったが保険料率改定に伴い3区分になった。(※図は内藤眞弓氏作成)

山崎 元(やまざき・はじめ)
経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。1958年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。その後、12回の転職を経て現職。専門は資産運用。

内藤眞弓
(ないとう・まゆみ)
ファイナンシャル・プランナー。生活設計塾クルー取締役。1956年生まれ。日本女子大学英文科卒業。13年間の大手保険会社勤務の後、FPとして独立。

深野康彦
(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルリサーチ代表。1962年生まれ。完全独立系ファイナンシャル・プランナーとして個人のコンサルティングを行いながら、さまざまなメディアを通じて情報を発信している。

藤川 太
(ふじかわ・ふとし)
家計の見直し相談センター代表。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、自動車会社を経てファイナンシャル・プランナーに。