少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。

株価の上昇を好景気の反映と捉えるならば、2020年の東京五輪までは好景気が続きそうだ。根拠は過去の開催国における株式市場の値動きにある。三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト濱崎優氏のレポートによると、2012年のロンドン五輪までの11のケースで、最終的に五輪開催国の株価が下落していたケースはないという。韓国総合株価指数が約5.1倍になったソウル五輪の韓国総合株価指数の影響を除いた単純平均は43.7%にもなる。1996年のアトランタ五輪時のNYダウ工業株30種平均や20年のシドニー五輪時のASX全普通株指数は一貫して右肩上がりを続けたが、08年の北京五輪では中国上海A株指数の急上昇が06年から始まり07年の秋にピークをつけて、五輪開催時は暴落の最中だった。日経平均株価がどちらのパターンになるのかはわからないが、日本株の上昇が続く可能性は高い。だがその後はどうなる?

「五輪を口実にすれば予算も通りやすいので社会インフラ投資が活発になり、ある程度は景気もよくなるでしょう。でも前倒しでお金を使ってしまうと、宴が終わった後のカンフル剤が何もなくなる。私は五輪後の景気の落ち込みが怖くて仕方ない」とファイナンシャル・プランナー深野康彦氏は悲観的な見方を示す。

楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏も「財務省が消費税10%実現に積極的なので、どんな手段を使ってでも景気をよく見せるでしょう。ミニバブルが起こる可能性があります。それが20年まで続くかどうか。北京五輪のときのように手前でへたるかもしれない」。