部下がストレスでキレないか →深夜に仕事のメールが入っていたら要注意

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うつに悩む社員が激増している昨今、部下がストレスをためこんでいないかを把握して対処するのは上司の重要課題だ。手遅れになる前に察知するにはどうしたらいいのだろうか?

ベインで保険・金融ほか各業界での業務に従事した後、人事関連のアドバイスなどを行う会社を起業した鳥越氏は、職場における精神疾患問題に深い見識を持つ。鳥越氏は、メールから部下の「ストレスたまり具合」を推測できるという。

「ストレスをため込むと物事に集中できなくなり、長い文章を読んで理解することが難しくなります。ちょっと複雑な内容の長いメールを打つと返事が返ってこないとか、すごく遅れるとか、返信のパターンの変化に兆候がありますね」

メールの送信時間帯にも要注意だ。これまでなかったのに、明け方の3時4時にビジネス上のメールが入っている。しかも緊急性は低い内容だ。

「精神的に参ってくると、早朝覚醒といって早朝に目が覚めてしまったり、気がかりなことが頭に浮かんで眠れなくなります。ベッドの中で悶々として、そのうち起き上がってメールを打ち出すのです」

そもそも、どうしてうつになるのか?

鳥越氏によれば、うつは環境の変化によって引き起こされることが多いという。そういうと悪い出来事を思い浮かべる人が多いと思うが、実は一般的にはポジティブだと思われていることでも起きる。たとえば「昇進うつ」がそうだ。

「昇進してマネジャーになり、これからもっとがんばらなくちゃいけないとプレッシャーを感じてしまって、うつになる人もいます。環境の変化に気持ちがついていかずに落ち込んでしまうのです」

マリッジブルーみたいなものだ。幸せそうだからといって安心はできない。

対処法として広く知られているのは「傾聴」。とにかく聞き手に徹して、まずは本人に言いたいことを言わせるのだ。ただし、これは根本的なうつの対処方法にはならない。鳥越氏は、社内あるいは社外のカウンセリングの窓口を上司のほうが利用することを勧める。

「本人は利用したがらないケースも多いでしょう。ならば、自分自身が窓口に電話をして、こういう部下を抱えているが、どう接したらいいだろうか。何をしてはいけないのか、彼をどうやって窓口に誘導すればいいのかをカウンセラーと相談すればいいのです」

うつの根本治療には、認知と行動パターンを変える認知行動療法が必須だ。例えば仕事の理由でうつになった人が、回復した後に、家族など別の理由でまたうつになることも多い。結局、その人は何が起こっても困難や変化をネガティブにとらえるクセがあるのだ。その認知や行動のパターンを変えないといけない。プロの範疇だが、軽度なうちなら上司がやれることもあると鳥越氏は主張する。

「前向きな振り返りを促すことです。ある仕事が無事に終わったとき、例えばこうやって声をかけます。『君は、すごく苦しんでいたみたいだけど、冷静になって振り返ってみろよ。私がこの仕事をやれと言ったときには次の日から眠れないような顔をしてたけど、ちゃんとできたじゃないか。まあちょっとうまくいかなかった部分もあったけど、それでどうなった? 別に何も起きてないぞ』と。何回も言っていれば、彼も少しは変われるかもしれません」