アベノミクスに不利なデータがぞろぞろ出る

選挙に大勝した政権は独裁色を強めるが、数に驕って、いずれ内部崩壊を起こす。自民党政権のDNAである。

私は第二次中曽根政権の1986年に衆参ダブル選挙を首相に提案して、選挙戦も手伝った。自民党は下馬評を覆して歴史的な大勝を収めて304議席を獲得する。しかし、その後、田中派分裂から内部崩壊を始めて、竹下、宇野、海部、宮澤と短命政権が続いた後、93年の政権交代で下野することになった。

郵政選挙に大勝した後は、郵政民営化法案を通しただけで小泉首相はあっさりと身を引く。その後、国民に信を問うことなく安倍、福田、麻生と政権をたらい回しにしているうちに郵政改革は後退し、再官営化の道を歩む。その間に世論は大きくスイングして09年の総選挙で大敗し、民主党に政権を明け渡した。

歴史は繰り返す。今回の自民党の圧勝劇も内部崩壊の序曲になると私は見ている。

今後はアベノミクスがいかに効果がないかという経済データがぞろぞろと出てくるので、当面、選挙はできない。だから安倍首相はこのタイミングで解散総選挙に打って出たわけで、言ってみれば「2年延命選挙」だったのだ。安倍政権に与えられた任期は4年。その間に自民党が内紛を起こす可能性は高い。

なぜか。残る任期、安倍首相の眼中にもはや“経済”はないだろう。もともと景気や経済に関心があるわけではないし、経済を語れるほど勉強もしていない。アベノミクスの失敗が誰の目にも明らかになったときに、当人はもちろん、首相の経済ブレーンにもこれを立て直すアイデアはない。そもそもアベノミクスを主導するリフレ派(金融政策や財政政策でデフレから脱却して、穏やかなインフレ状態で安定成長を図ろうとする考え方)の政策に、日本経済再生の解はない。アベノミクスでは地方は活性化しないし、女性も輝かないのだ(詳しくはユーチューブにアップした解説を参照してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=h7X_vbexeaY)。

円安とインフレの進行で国民生活は厳しさを増し、17年には消費増税が待ち受けている。経済状況が悪化しても打つ手なしなら、党内から批判が噴出して、安倍政権は自動的に崩壊する。これが第一シナリオだ。