高血圧症や糖尿病の治療中だとすれば、EDにも悩んでいるのではないだろうか。新宿ライフクリニック院長の須田隆輿先生は「並行してEDの治療も可能。ぜひ気軽に受診を」とポジティブな姿勢を促す。

須田隆輿●すだ・たかおき

新宿ライフクリニック院長
1999年、帝京大学医学部卒業。医学博士。2012年より新宿ライフクリニック勤務。日本内科学会認定総合内科専⾨医。日本糖尿病学会専門医。日本抗加齢医学専門医。日本性機能学会所属。EDの相談・治療を親身に行うとともに、EDの悪化や他の病気の進行を防ぐためにも、生活習慣の改善を熱心に呼びかけている。

新宿ライフクリニックホームページ  http://www.life-cl.com/

 

おおもとの問題は
血管や神経で起きている

──不摂生な生活習慣がEDにつながるというのは本当ですか?

【須田】そのとおりです。生活習慣は、食事と運動に大別されます。カロリーの摂り過ぎや運動不足は、まず血管をしなやかに保つ血管内皮の機能を低下させ、その先に待っているのが動脈硬化です。血管が傷むにつれて血流は悪化し、陰茎海綿体に十分な血液の流入と滞留が起こらなくなる。それがEDです。嗜好品である酒、タバコもEDを助長します。

――ということは、生活習慣病にかかるとEDになる恐れがあるわけですね。

【須田】そういうことになります。例えばED患者さんの約4割には、背景として高血圧症が認められるという報告もあります。理由はハッキリしているのです。生活習慣の影響などで血管内皮の機能障害が始まり血管が硬くなると、血圧は上がります。血圧が高いと、血管がますます硬くなるという悪循環に陥ります。こうして血流が悪くなっていき、EDが引き起こされるのです。

――糖尿病が原因でEDになるというのもよく聞く話です。

【須田】血糖が多い状態も血管内皮の障害を進行させます。しかも細小血管がどんどん侵されるという特徴があり、やがて自律神経の機能も損なわれてしまいます。神経が働くための栄養分を届けるのは、細小血管を通る血液だからです。自律神経も勃起のために大事な役目を果たしますが、糖尿病では血管と神経の両方がダメージを受けてしまう。その結果、患者さんの約8割はEDを併発しているというデータもあるほどです。

――EDになってしまう前に高血圧症や糖尿病の自覚症状は現れますか?

【須田】どちらも初期には自覚症状がありません。健康診断で血圧や血糖値が高めというリスクを発見したら、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。健全な生活習慣は、健康寿命の延長、そして健全な性機能の維持にもプラスとなります。

高血圧も高血糖も一線を超えてしまったら要治療です。高血圧の薬の副作用でEDが起こる例も一部に見られますが、血圧のコントロールは生命にかかわること。自己判断で薬をやめたりしてはいけません。原因はどうあれEDにはEDの治療法があります。ぜひ専門医を受診するようお勧めします。