世界初の24言語対応の学習サービス

いよいよ起業を目指すべきだと、2011年、35歳で新規事業の創出と企業の立ち上げを支援するエムアウトに転職した。同社は専門商社のミスミを一部上場企業に育て上げた田口弘が設立した会社である。

片山はそこで、企業の設立時に人材を供給する人材紹介事業を立案し、1年半かけて事業化したものの発展性が期待できず、中止になった。その挫折を糧に新事業を模索。人材紹介の際に応募者を人が評価するが、手間もかかり、評価基準も曖昧だ。それならば、コンピュータによって公平に評価できないかという発想が生まれた。

これがパイザの元になる。同時に、片山にはそれまでの経験からITエンジニアが正当に評価されていないという思いがあった。

「欧米ではエンジニア出身の経営者やスターがいるのに、日本では優れたエンジニアがいても社会的な評価が低い。エンジニアがもっと憧れの職業になってほしい、世の中を変えられるのはエンジニアだとわかってほしいと思っていました」

こうして、パイザの事業化が進み、エムアウトからメンバーと出資金を受け取り、2013年からギノとしてスタートした。片山は38歳になっていた。

パイザの登録メンバーから学習の場がほしいという声が上がり、2014年11月にはオンラインプログラミング実行環境サービス「パイザ・アイオー」のβ版をリリースした。これは、ブラウザ上で24言語ものプログラミングを実行できる世界初のシステムで、新しいプログラミング言語を学びたいといったエンジニアの要望に応えたものだ。

今後、このプラットフォームをベースに学習コンテンツの提供サービスも始める予定だ。対象は社会人だけでなく、学生や初心者も含まれる。2012年度からの新学習指導要領によって中学生もプログラミングが必修項目になった。エンジニアの養成は先進各国でも大きな課題になっている。

片山は「求人情報事業と教育事業で3年後には売上100億円を目指したい」と言う。パイザを通じてITエンジニアのスターが生まれてほしいものだ。(文中敬称略)

ギノ株式会社
●代表者:片山良平
●創設:2012年
●業種:プログラミング学習サイトの企画・運営、求人情報提供サービスの企画・運営など
●従業員:11名
●年商:非公開
●本社:東京都港区
●ホームページ:http://www.gi-no.jp/
(ギノ=写真提供)
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