内定が取れなかった学生もすぐに就職


「パイザ(paiza)」のスキルランク表示画面

ITエンジニアと言えども、プログラミング能力だけでなく顧客と交渉したり、説明する能力が必要ではないのか。確かに顧客企業の窓口となるようなSEにはそうした能力が必要だが、純粋にプログラミング能力を求める職場も多いと片山は言う。

「大手SIerでは対人スキルを求めるでしょうが、ソーシャルゲームなどネット系の企業では外部と折衝するのではなく、ユーザのニーズや課題を吸い上げて、短時間でプログラム開発できる人材が求められています。また、クラウド化が進む中で、短期間でアプリケーションをリリースし続ける必要もあり、高いプログラムスキルが求められているのです」

ところが、従来型の書類選考と面接という採用スタイルでは、プログラミングが趣味のような“ギーク”と呼ばれる人材をすくい取ることができない。彼らは能力が高くても、人前で話すことが苦手な人たちが多く、面接官が能力を評価できずに採用されないケースも少なくない。

パイザでは人ではなく、コンピュータが評価するので、ギーク的能力があれば、SあるいはAと評価され、採用される率は高いと片山は言う。現在までに求人を掲載している企業は400社で、100人以上がパイザを通して採用された。Sランクでは平均年収が600万~700万円ほどになる。

あるSランクのエンジニアは、学生時代の就職活動で内定を取れず、卒業してしまったが、Sランクを取得後、1カ月目には就職先が決まったという。中には、受託開発企業に勤め、仕事内容に満足できなかったエンジニアがSランクと評価されて、いい転職ができた例もある。

片山は「技術力を可視化して、人材マーケットで流通できるようにしたい」と語る。

ギノとしては、無事に雇用契約が成立した場合、企業側から成功報酬として、採用した人の年収の25~35%を受け取る。

企業が書類選考なしという採用スタイルに抵抗感があるかと思ったが、高スキル人材のニーズは高く、大手IT会社も自然に受け入れてくれた。登録者も現在、月に1000人以上の規模で増えており、想定以上の好反応だ。片山は事業に手応えを感じており、来年度には黒字化したいと言う。