建物の給水管は20年も経つと、管内に赤錆が発生し、赤水が出たり、管が腐食して水漏れ事故も起きる。だが、給水管の交換には多額の費用がかかる。日本システム企画は装置を外部から取り付けるだけで、赤錆を止め、管を長持ちさせる画期的なシステムを開発し、海外でも高く評価されている。

赤錆を黒錆化して配管を守る

「50年以上前の小学生の時から、ずっと錆止めのことが頭にあったのかもしれません」

熊野活行・日本システム企画社長。

日本システム企画を創業した社長、熊野活行(65歳)は、錆との戦いをそう振り返る。

同社が世界で初めて開発した「NMRパイプテクター」(NMRとは核磁気共鳴の意。以下、パイプテクター)は、建物の給水管などの配管内の赤錆の進行を止めて、黒錆化し、配管の寿命を延ばすことができる画期的な装置だ。

通常、給水管は10年を過ぎると配管内部の継ぎ目部分が赤錆で閉塞し、20年も放置すると、赤錆で狭まり、水が通りにくくなると共に、雑菌が繁殖したり、長時間水を使用しないと赤錆が水に溶け出て赤水となり、水の味も悪くなる。さらに劣化すれば、管が腐食して穴が開き、水漏れ事故も起きやすくなる。そうなったら、配管を全面交換せざるを得ないが、その費用は多額で、建物オーナーの頭痛のタネであった。

パイプテクターは、老朽化した配管でも管の外側から取り付けるだけで、赤錆が黒錆に変化する。黒錆は錆といっても赤錆とは別物だ。赤錆は鉄を腐食させ、水中に溶け出すが、黒錆は鉄の表面に付着すると、強固な皮膜となって逆に酸素や水から鉄を守る不動態となる。マグネタイトとも呼ばれ、水に溶けることはない。鉄鍋などは赤錆や腐食を防ぐために、わざと空焚きして表面に黒錆を発生させる。

赤水が出ているような給水管も、パイプテクターを取り付けると数週間から約1カ月で赤錆が止まり、赤水が出なくなる。電源は不要で、その効果は最低40年間も持続する。

魔法のような話だが、1996年に商品化されたこの装置は日米欧などで特許を取得しており、学術的な論文も複数発表されている。2005年に日本防錆技術協会主催の防錆防食技術発表大会で、日本システム企画は「NMRを利用した配管更生技術」として発表し、その科学的原理を論文で示した。

北海道工業試験所でも、03年に実証実験が行われ、水中の鉄分が4カ月後には3分の1以下に減り、色度も約3分の1と、水道の水質基準値に準ずるレベルに改善されたことが明白になっている。

10年には国土交通省の公共工事で活用できることを認めた新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されている。