「データ革命」は始まったばかり

こうしたあらゆる情報から、ゴルファーは何をすればいいのだろうか。まずは椅子に腰をかけてゴルフというゲームを少し違った角度から眺めてみることだ。データに基づいてゴルフを科学的に分析したところで、その素晴らしさや面白さは失われない。むしろ私にとっては、ゴルフのプレーやマネジメントを理解し、どんなショットが最終的なスコアに影響を与えているか、コース上で最適な判断を下すにはどうすればいいかを見きわめるための基準となっている。願わくば、読者にとってもそうであってくれると良いのだが。

ゴルフはパッティングゲームではなく、ドライビングコンテストでもない。1934~1948年の間に全英オープンを3勝したヘンリー・コットンがその本質を見事に言い当てている。それが“Every shot counts”(すべてのショットが重要である)という有名な言葉だ。データに基づいて分析すれば自分の得意・不得意がよくわかり、ゴルフが人知を超えた神秘的なゲームではないこともわかる。ゴルフは細かく分析できるものであり、その分析結果を役立てて上達することもできる。変革は始まったばかりなのだ。

マーク・ブローディ Mark Broadie
コロンビア大学ビジネススクール教授。専門の数量ファイナンスをゴルフのスコア分析に応用した新指標がゴルフ界で注目されている。全米ゴルフ協会ハンディキャップ調査チームのメンバー。伝統あるニューヨーク州ペルハムカントリークラブの元クラブチャンピオンの実績がある。
(訳=吉田晋治)